オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「小便の飛沫の行き先は?」

2年ほど前に、新築した歯医者に行って驚いたことがあった。それは、トイレは男女共用だったが、男が小便をするときに女性と同じように、腰かけてやってくれと書いてあったことだ。「なに、ふざけたことを言ってんだ!」と思い、そのままいつものように立って小便した。

しかし最近、というか以前からあったことだが、夜中に起きて小便に行ったときに、パンツ一丁でいるので、小便が後ろに逸れて足にジャーっとかかるのが、たまに分かることがある。要は、ホースの先をつまんで水を飛ばすときに、つまみ方によってとんでもない方向に水が飛ぶのと同じだ。先っぽの出口が変に歪んでいると、あらぬ方向に飛んでいく。

便器のふちもよく見てみると、小便のしぶきがたくさん散って付いている。それも、前後左右と跡がついている。これは、テレビのコマーシャルにもあったが、トイレの全方向に飛び散っている可能性が高い。

          

勤め先の管理人室トイレの床は白色のビニール素材のものだが、小便の水滴の跡が、いつまでもテカテカと光って残っている。それで、自分の3日連続出番の最終日の帰る少し前に、その床を便器と一緒にクリーニングシートで拭いてくる。もう一人の管理人は、ほとんど小便をしないので、自分の後始末ということになる。

ということで、最近のテレビのコマーシャルでも、男子の小便の飛沫が広範囲に飛んでいるというのをやっているが、まったくその通りだ。それを思うと、歯医者の「男子も座って小便を」というのも、まあ納得できるような気もする。

            

だから、男性が普段履いているズボンなども、結構小便が飛んでかかっているのだろうから、かなり汚いのかもしれない。どんな男性でも、ズボンの足辺りは小便でかなり汚れているのだろう。まして、歳を取るとキレも悪くなるので、小便の後にチャックの周りが染みていることも多い。ズボンは、頻繁に洗濯しないとダメだな。

「強い雨が降ると大変! マンションの掃除」

強い風を伴った雨や大量の雨が降ると、マンションの廊下のところどころに雨水が溜まるので、いつも心配になる。9階建ての半分くらいの階の廊下が、水溜りになる。これが、大小色々とあるが、結構な量なのだ。しかし、こんなマンション、他にあるんだろうか?

この廊下に溜まった雨水を、まずワイパーの大きなの(スクイージーと言う)で、両端の排水口?(というか応急処置で、後で壁に穴を開けたようだ)から何度も押し出す。それからモップ掛けをするので、手間が普通の場合の1.5倍もかかる。いつも2棟の掃除をしているが、3棟分の掃除をしていることになる。

モップとホウキと塵取りのいつもの3つの他に、このスクイージ―を持つので4つになり、持って歩いて移動するのに邪魔で仕方がない。このスクイージーは、前面がゴムになっているので、ピッタリ床に付いて水を後ろに逃さない。結構、優れものではある。

         

掃除量が増えると疲れるし、腰が痛んでくる。それと、上半身でモップを押して行くので、腕も背中も張ってくる。こうなると大変で、1棟を終わると30分は休んでから、次の棟の掃除を始める。その間、腰を曲げたり上半身をひねったり、ストレッチをする。この前は、痛んでひどかったので、湿布を貼った。 

廊下のワックス掛けは、業者が数か月に一度やりに来る。そのときに、その業者に「ワックス掛けをすると、なにが良くなるの?」と聴いたら、「掃除が楽になる」と言った。成程と思ったのは、ワックスを掛けたばかりの頃は、モップ掛けをすると表面がスーッと滑って、驚くほど軽く前に進む。

仕事の有る日に雨が降りませんように、と週間天気予報をいつも見ている。しかし、だいたい自分の出番の前の日や、当日に雨が降る。雨男なのか。                      

          

「老人性うつ病を防ごう」

『和田秀樹 老後は要領』に、「老後、そしてコロナ時代は、とにかく”うつ病”を防ぐことを心がけよ」と書いてある。そして、そのカギを握るのが「セロトニン」という脳内物質だそうだ。

この「セロトニン」というのは、心のコントロールする中心的な役割で、不足するとイライラしたり、うつ病の原因になる。実際、うつ病の薬は、脳内のセロトニン量を増やす作用だという。

セロトニンは、やる気や快感に関係するドーパミンなどのコントロールにも関わっている。それで、この物質の分泌量を増やすにはどうしたらいいかというと、最も手っ取り早い方法は「日の光を浴びること」だそうだ。目安となる時間は、1日15分くらいで、週に最低3回以上。

          

それと「肉を食べること」が良いそうだ。牛肉や豚肉には、トリプトファンというアミノ酸が多く含まれていて、それがセロトニンの材料になるという。

前にも書いたが、105歳まで生きた医師の日野原重明氏や、99歳まで生きた瀬戸内寂聴さんも、肉が大好きだった。2人とも、最後まで講演や説法などをして元気だった。和田秀樹氏は、高齢になったら意識して肉を食べるようにと言っている。まったく、今までの常識とは違う。

ということで、うつ病対策で、自分も日の光を浴びようと思っている。1日15分くらいという短時間で、週に最低3日というのがいい。寒くて、雪のある冬期間が約半年もあるので、雪のない半年間は自転車で家の周りをブラブラして日光を浴び、冬期間は家の周りの積もった雪を少しずつ、毎日排雪しようかと考えている。

        

自転車はないので、中古の安い自転車でも買おうかと考えている。ここ2~3年、家の周りに続々と家が建ち始め、今まで空き地だったところが、家だらけになっているのを見て驚くばかりだ。そんな状況も、チャリで見て回ったら退屈しないだろう。

自分も今年で67歳ということもあり、あまり無理はしないことにした。ブログも書きたいときにボチボチと書いて行こうと思う。

「70歳からの本、多過ぎるんじゃないの?」

今まで何度も引用させてもらっている『和田秀樹 老後は要領」だが、なかなかいい本で、今も時々読んでいる。そして、その続きのような、70歳からとかいう本が、同じ著者で発売されているが、とにかくすごい種類で、どれを買っていいのか分からない。元々、この人の著書はすごく多い。

その内の何冊か、Amazonのサンプルで目次を見てみたが、どの本も同じような話が書いてあり、かなりダブっている。面白いし、ためになるので買いたいのだが、ダブっているところが多いので、それぞれ買ってももったいないし、価格が1冊1,000円以上するので、金銭的にも大変だ。

しかし、この和田秀樹さん、儲け過ぎじゃないのと思うが、これだけ違う出版社からたくさん出ているのは、高齢者に爆発的に売れているのだろう。確かに、興味のあることや、具体的ですごくためになる話ばかりだ。こんなに高齢者に役の立つ本は、今までなかったのかもしれない。

           

           

著者が精神科医で、たくさんの老人と直に関わってきたこともあり、今までの精神論だけではなく、具体的なことばかり書いてある。自分のように、老人性ウツや体調についても悩んでいる高齢者がたくさんいるのだと思うと、少し元気も出てくる。自分だけではないんだと。

ただ、この前、管理人O氏が「これ読んだらいいよ」と言って、当番の日にマンガ本を置いて行った。未来を予言した女性が書いたものだった。『たつき諒 私が見た未来』という本だ。それによると、2025年の7月に日本列島は世界規模の大地震で、かなりの被害を受けるということだった。なんと、3年後だ。

被害が少なければいいと思う。それで、そのときのために、防災グッズを買おうかと考えたりしている。ノストラダムスの予言のように、外れてくれたらいいのだが。しかし、こんな本を読んだら、70歳からの生き方云々どころではなくなるな。

 

 

 

「”ムンクの叫び” じゃなく、”文句(もんく)の叫び”」

一昨日から、急に気温が下がって寒くなってきた。一昨日はパートの出番だったので、管理人室のストーブをつけたが、暖かくて気持ちが良かった。やはり、暖かいということは幸せなことだなあと感じた。寒いと、なにもしたくなくなる。

もう一人の管理人O氏も自分同様、寒がりなので良かった。自分1人だけが、早くから暖房を使っていると、少し気が引ける。一昨日、監視カメラで入居者の様子を見ていたが、ほとんどがジャンパーを着ているのに、なんと半袖のTシャツに短パンという、20~30代の男性が2人もいたので驚いた。

2人に共通していることは、かなり太っていることだった。相撲取りのような体型をしてる。やはり、太っている人は暑がりなんだな。ウチの女房も、それほど太ってはいないが、かなりの暑がりで、これが寒がりの自分と違うので困る。

         

しかも女房は、昔から自分のことしか考えない性格で、全室パネルヒーターだけど、暖房のボイラー本体のスイッチを勝手に切ったり、レベルを下げたりする。だから、夜中や朝方に、急激に自室の温度が下がったりする。風邪でもひいたら、糖尿病の自分はなかなか治らないから大変だ。それを何度言っても分からない。

女房が生活して寝ている居間のスペースは、後ろと横にすぐパネルヒーターが2台もあるので温かい。しかし、自分の部屋は片側にしかパネルヒーターがなく、しかも窓が多いので寒い。それも何度も説明するのだが、2階は温かいはずだと言ってきかない。

居間のパネルヒータのレベルを下げろと言っても一切やらないので、自分がこっそりと最小まで下げた。すると、居間の温度はかなり下がって、さすがの女房も寒がっていたが、自分が寒がった様子を見せないので、我慢してクシャミしたりしてた。それを聴いて、「ザマーみろ!風邪ひけー!だけど、うつすなー!」と心の中で叫ぶ。

        

それでも、寒がりの自分は、とにかく風邪をひけないので、自室に遠赤外線の電気ストーブを入れた。これも寒い朝晩に数時間つけるだけだが、今度はこれが電気代がかかると女房が文句をつけて、叫び出した。何度も電気代はそれほどかからないと言っても、2年くらいずっと文句を言ってた。

やっと、説明書をコピーして、使用電気料を計算して、月に数百円と書いた紙を渡してから文句を言わなくなった。しかし、そんな女房自身は、トイレや洗面台やクローゼットなどの電気はいつも点けっぱなしで、居間の電気も点けっ放しで寝ていることも何度もあり、その方がよほど電気代がかかってるだろうと、言ったこともある。

冷房のエアコンの設定で、夫婦で揉めているところも多いようだが、ウチの場合は暖房だ。というか、なんでも文句をつけてくる。女房は「ムンクの叫び」ではなく、「文句の叫び」だ。今は自分も段々と強くなり、バンバン言い返すようになったので、「文句の叫び」も、かなりおさまっている。

しかし、こんな気を許せない戦いが何年も続いたが、これはボケ防止になったのかね。

「レジ、お願いしま~す!」

コンビニには毎日のように行っているが、アルバイトの若い店員がレジで1人でモタモタしていて、待ってる人がたくさんいるのに、他の店員を呼ばないことが結構ある。そんなとき、自分が「レジ、お願いしま~す!」と大声で叫んでやろうか、という衝動にいつも駆られる。

いつかは、やってやろうかと思ったりもしているが、やっぱり言えないか。それと、アルバイトの若い男の店員は、どいつもこいつも動きが鈍く、商品の袋詰めが特に遅い。だから、精算機でレジを済ませた後、結構待たなければならない。若い女の子も遅いが、男はさらに遅い。

男はこういう風に出来てるんだなと思っていたが、パートの職場近くのいつも寄るコンビニにいる若い男は、今までのそんな自分の考えをくつがえした。長髪を後ろで縛って、メガネをかけているが、とにかくすべてが手早い。ベテランの手早い女子店員クラスだ。        

         

それで、或るとき自分が「君は手早いね。他の男たちは全滅だな」と笑って言うと、恐縮していた。それからも、そのコンビニに寄ると時々会うが、自分と分かると少し緊張して、手早くやろうとしてミスをする。余計なことを言わなきゃ良かったかな。

考えてみたら、自分も若い頃は何をやるにもトロい性格だった。母親がせっかちで、「グズグズしてたら、人に後れを取るよ!」とよく怒られた。それが、先に書いた水産加工場で、班長さんにみっちり鍛えられて変わった。鍛えられたら、案外、誰でも手早くなるのかもしれないな。それ以上になると、持って生まれたものだろうけど。

「もう、無理するのはやめようか」

相変わらず、やる気が今一つ起きてこない。「時間が経てば、また、やる気が出てくる」という今までのパターンとは、なにかが違う。以前とは違っていると、やっと最近、気づいてきた。どうも、鈍感なのか、なにごとも気づくのが遅い。

間違いなく、体力も気力も全てが衰えてきている。それを自覚してきたら、「もう、無理するのはやめようか」と思ってきた。「やり甲斐のあること」なんて、無理に考えなくてもいいんじゃないか。毎日、ダラダラと1日を過ごしてもいい。

一日中、ボーっとして、ただイスに座ってるだけでもいい。「何かをやらなきゃ」と、プレッシャーに感じることをやめようと思ったら、少し気が楽になった。最近は、このブログの記事を毎日のように書くことも、プレッシャーになってきた。

         

毎日、記事を掲載していると、日を空けるのが怖くなる。間隔を空けると、忘れられて、誰も読まなくなるのではないかと心配になる。元々、アクセス数がたいしてないのに、関係ないと思うだろうが、それでも読者が一人もいなくなったらどうしようかと、怖くなる。「そして、誰もいなくなった」だ。 彡(-_-;)彡ヒューヒュー

しかし、書くことがなくて無理に書いた記事は、自分でも楽しいと思わない。それじゃあ、読んでる人も当然、面白いはずがない。そして、そんな記事を書く意味が、果たしてあるのだろうかと思う。掲載の間隔を少し空けて、本当に書きたいときに書こうかと考えている。

前にも書いたことだが、パソコンの女の先生が自分よりも年上だと思うが(年齢を聴いても、絶対に教えてくれなかった)、「私はもうこの歳になって、これからは無理して嫌な仕事はしないし、無理して嫌な人にも会わないと決めたの」と言っていた。無理はしないと。

             

自分も、もう無理するのはやめようかと思っている。目の前のことを、少しずつやって行けばいい。先のことを考え過ぎて、思い煩うことはやめよう。それと、いつまでも過去を引きずってしまう癖。これも断ち切らないと。

ただ、そうは言っても、休日を計画もなくダラダラと過ごすのは、やはり退屈だ。「やり甲斐のあることを」と気張っているよりも、「退屈しないこと」を色々と考えてやってみようか。でないと、ただ時間が過ぎ去っていくのは、もったいない気もする。

「リサイクル・ショップで買った、ビジネスバックの中身」

先般、リサイクルショップの「ハード・オフ」で、ビジネスバッグを買った。税込みで1650円だった。パートの仕事で、管理人室に持って行くのに買った。ほとんど使わないが、ノートパソコンも持って行ってる。今までのバッグは、床に置くとベタッとなるので、気に入らなくて、バッグが立つようなのが欲しかった。

それで、いつもの「ハードオフ」で見てたら、良さそうなのがあったので買って、仕事に行くときにずっと持って行ってる。バッグが立つので、物を出す時も出しやすいし、バッグの底に鋲が打ってあるので、汚れが本体に付かないのでいい。

ただ、このバッグ、買ってきてから外側のポケットの中身を見たら、色んなものが入っていた。前に使っていた人の物が、そのまま入っていた。買い取った後に、アルバイトの兄ちゃんがバッグの掃除を頼まれて、ここだけ忘れたのかもしれないな。

 

あまりにも色んなものが入っていて、前の人の顔写真入りの何かの証明書やら、使用した汚れた白手袋も入っていたので驚いた。飴玉に割りばし、さらに、色んな地域のマップも入っていた。自分も今まで多くのバッグをハードオフで買ってきたが、こんなのは初めてだ。

証明書で、このバッグの前の所有者の名前も住所も、年齢もすべて分かった。個人情報もなにも、あったものではない。それでも、気持ち悪いものが入っていなくて、まだ良かった。

「もしかして、コロナに感染してたのかも?」

先般、友人U氏がコロナに感染したということで、自宅療養になった。その後、それも終わって、久しぶりの食事会をした。感染したときは、喉が少し痛くなったそうだが、熱はなかったそうだ。

その話を聴いて、自分もその頃だったと思うが、喉が痛くて喉スプレーをしたり、喉飴をずっと舐めていたことを思い出した。そのときは、もしかしたら感染しているのではないかと思い、熱を何度も計っていたが、それほど熱があると言うわけではなかったので、大丈夫だと思っていた。

            

これだけコロナの感染が広がっているので、無症状の人もかなりいるんだろうと、U氏と話していた。自分は、4回目のワクチンをその少し前に打っていたので、そのせいもあって軽症で済んだのかもと思ったが、効果があるのは接種した2週間後とU氏から聞いたので、どうなのだろうか。

もう一人の管理人O氏は、一切、ワクチン接種をしていない。ワクチン陰謀説を強く信じているからだ。これは、マイクロソフトのビル・ゲイツの元の奥さんの何んとか基金が関係する陰謀だとか言ってた。

              

いずれ、通信が5Gになったら、それに反応して、ワクチン接種をした人が病気を発症するとか、何んとかかんとか言っていたが、難しくて自分にはよく理解できない。かの、エリック・クラプトンも、ワクチン接種をしていない。長生きして欲しいけどね。

「海外旅行で、危なかったこと」

20代中頃に、1人で欧米旅行に、1ヶ月半ほど行ったことがある。本当は、海外旅行どころか、国内の旅行もあまり好きではなく、バスや列車にも1人で乗れなかった。それが、失恋をしたことと、仕事のことで悩んでいて、それで会社を辞めて、実家の親父がやっている会社に行くことになった。

負け犬のようで、こんな惨めな気持ちで実家に帰りたくないと思った。だから、本当は海外旅行なんて行きたくなかったけど、なにか自分の一番苦手なことを克服しないとダメだと思って、行くことにした。

結果としては、行ってみて良かったと思ったが、危険なこともたくさんあった。それはすべて、アメリカでのことだった。当時は、アメリカは失業者が多かったようで、治安も悪くて非常に物騒で、ニューヨークの地下鉄では、乗客はみんな壁に張り付いていると言っていた。でないと、線路に突き落とされるということだった。

             

「舗道のビル側を歩くな!」とも言われた。ビルの間に引きずり込まれたら、最低でも10ドル?をすぐ渡せと言われた。でないと拳銃で撃たれるという話も聞いた。英語は全然分からず、行くときに羽田空港の本屋で「ミッキー安川のSOS英語」という本を1冊買って持って行き、使った。従って、英語が分からないので、危ない目にもあった。

ロスアンジェルスだと思ったが、有名な楽器店に行こうと、方向音痴の自分が地図を見て歩いていたときだ。段々とひと気がなくなり、すれ違った米国人らしい若い男性に、地図を見せて楽器店への道を聴いた。案の定、言っていることがサッパリ分からず、ただ「デンジャー」という単語だけ聞き取れた。              

どっかで聴いたことがある単語だなと思ったが、「オーケー!」とか言って、言われた方向に歩いて行った。すると、道を挟んだ左手に灰色のコンクリートの平屋建て住宅らしいのが、ズラッと並んでいた。そして、パトカーが数台停まっていて、数人の警官が各家の中を見て回っているようだった。指笛がピューピューと鳴り響いていた。

後で、向こうで知り合った若い日本人の男性旅行者と話していたら、あそこは南米系の住民の集合住宅で、危険なところだと分かった。警察が、ちょうど立入り検査をしていたから、助かったんだと言われた。警察がいなかったら、危なかったと。ちなみに「デンジャー」は、「危険」という意味だった。「あっちは危険だぞ」と教えてくれたのだ。

            

サンフランシスコの街を歩いてホテルを探していたら、高層ビルが建っているが、人通りのまったくないところに出た。すると向かいから、ラフな格好をした、タチの悪そうなオヤジ連中が4人ほど歩いてきた。1人はごつい体格でサングラスをかけていて、片腕を懐の中に入れていた。これはマズいなあと思いながら、すれ違った。

「あー、助かった!」と思ったら、その男が走って自分を追いかけて来た。これはもうダメだと思ったら、「マネー!マネー!」とか言う。金をくれと。片腕を懐から出して、持っている拳銃を突き付けられると思った。そのとき、自分は髭ボウボウで汚い格好だったので、自分も金に困っているように「ノー・マネー」とか適当に言ったら、「オーケー」とか言って、戻っていった。よく見ると、片腕の人だった。

参ったなあと思って、辺りを見たら、そこら中のビルの間の壁に、やばそうな連中が何人も寄りかかっていた。ゾーッとして走り去りたかったが、追いかけられるようで怖くて、早歩きでその場を去った。

           

安いホテルにしか泊まらなくて、夜、向かいにあったスーパーに食べ物を買いに行った。全面ガラス張りで、外から明るい店の中が丸見えだ。買い物をして帰ろうとしたら、店内の水飲み場か手洗いのところで、ホームレスのような男性が泣きながら水をガブガブ飲んで、自分を見て、なにかくれと言う。一瞬、買ったパンか、少しの金をやろうかと迷っていたら、すぐ店の人が来てどこかに連れて行った。

参ったなと思って外に出た。すると、道路を挟んだ薄暗い向かいのビルの壁に、たくさんのホームレスのような男達が寄りかかって、こちらをジッと見ていた。店内でのやり取りをずっとガラス越しに見ていたのだろう。もし、パンや金なんかホームレスに渡していたらと思うと、ゾッとした。その2日後に、そのビルのすぐ隣りの小さな公園で、刺殺事件があったことを聞いた。

          

そのときは、旅行を始めてから、1ヶ月くらい経っていて、髭は一度も剃らないので、口の周りもあごの周りもボウボウだったのと、格好も上はヨレヨレのシャツで、下は前の会社の作業ズボンだった。「こいつは、金は持ってないな」と思われたのか、同じホームレスと思ったのかもしれない。それが、幸いした。

それ以外にも、テレビで観るような、危険なシーンも近くで色々と見た。アメリカはすごいなあと思った。よく、無事で帰れたもんだ。