オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「下手に親切心を、起こしてはならない」

昨日の続きだが、我々管理人の雇用主である管理会社自体は、トラブルに深く関わりたくないということがある。前に勤めたマンションの管理人のときは、一番最初に札幌本社に行って、クレーム処理担当責任者からの研修があった。

そのときに「冬、駐車場に停まっている、一台の入居者の車の上に積もっている雪を、親切心で落としてやったとします。すると、それをジッとマンションの部屋の窓から見ている人達がいて、”どうして、俺達のもやらないんだ”ということになります。だから、最後は全部やらなければならなくなり、余計な仕事が増えます。だから、やらないで下さい」と教えられた。

そして「雪を落とした後に、その車の所有者が、”車の屋根に傷が付いていたので弁償しろ”と言ってきたとします。そして裁判になり、負けて弁償します。これは実際にあったことです」と言った。だから、一切触れるなということだった。確かに、除雪時の車の傷のトラブルは結構ある。

          

自分は、その教えを守っている。今のマンションの駐輪場は、屋根もなにもないところに、ただ自転車を斜めに並べて停めているので、よく倒れている。しかし、それを起こさないし、一切触らない。その周辺には、倒れたときに壊れた部品が散乱している。だから、壊したと言われないように、一切触らない。

以前勤めたマンションの入り口に、毎日のようにタバコの吸い殻と空き缶を捨てていく人がいた。注意書きした立札を立てた。すると、それから今度は、管理人室の郵便ポストや入口に捨てていくようになった。それを管理会社に言うと、「それ以上、関わるな」と言った。

以前にもそういうことが、どこかのマンションであり、そのときは監視カメラで人物を特定して注意したが、プライバシーの何とかかんとかで、逆に訴えられて負けたという。だから、そういうことには関わるなと言う。裁判に負けた云々もあるのだろうが、その問題に関する手間を考えると面倒臭いから、放っておけということもあるのだろう。

          

バカみたいな話だが、まあ、こんな世界なんだと分かってきた。確かに、ゴミ捨てにしても毎回、悪質なのがいるし、注意書きをしてもキリがない。マンション内の騒音にしても頻繁に苦情が入る。それらの問題を解決するのは非常に難しいことで、それで悩んで神経がおかしくなり、辞めていった管理人も多くいるようだ。

親分の管理会社が、深入りするなと言っているのだから、自分達がそれ以上やる必要はない。しかし、管理人は実際に現場にいるので、クレーマーと直に接するし、注意や説明をしに行かされたりとか、管理人が直接関わるので、みんなそれで参ってしまう。「事件は、現場で起きてるんだ!」というところか。

面倒な人間関係とかもなくて楽だと思っていた管理人が、そうではないと思って辞めてしまうのかもしれない。このマンションも、管理人がほとんど毎年変わっているようで、問題が色々とあるようだ。自分も、この先どうなるのか不安はある。