オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「しかし、分からんもんだ」

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先般、職場の休憩室で昼飯を食べていたが、工事課と営業とクレーム担当者の3人が揃った。だいたいは同じ顔ぶれだが、仕事の都合で、そのときに集まる人が時々違う。営業課の40歳の人とは、お互いに積極的に話をする方なので、色々と話をしている。

それで、2人で音楽の話などもしていると、工事課の人などは黙って話に加わらず、テレビを観ていたり、目をつぶって寝ていたりする。みんな、自分よりも2歳以上年上だが、それほど興味がないのだろうと思っていた。

ところが、まず一緒にいたクレーム担当の寡黙な40代の男性に「何か音楽を聴いたり、楽器をやったりしないんですか?」と聴くと、なんとピアノを5歳から20歳までやっていたという。そして、ピアノ教室をやろうかと、ずっと考えていたこともあるという。そういうタイプには、まったく見えなかった。

そして、隣で目をつぶって黙っていた工事課の自分よりも2歳年上の、元警察官かという風貌の人にも「Kさんはどうなんですか?」と聴いてみた。すると、いつものように寡黙だったKさんが、クワッと目を見開き「実は若い頃、ギターとベースギターをやってました!ヴォーカルもやってました!」と言う。

これまた驚いて、どんな曲をやっていたのか聴いてみたら、「イーグルスとかも、やってました!」と言うので、ぶっ飛んだ。考えてみたら、自分がもう67歳という年齢だという自覚がなかなか持てないので、ほとんど歳の違わない人達が、自分よりもずっと年上に見えてしまう。だから、自分とほぼ同じ時代の音楽環境にいたということが、実感として湧いて来ない。

自分より少しでも年上の人達は、みんな演歌や歌謡曲しか聴いていないように思ってしまう。5年くらい前に、山下達郎のコンサートを女房と観に行ったとき、開演前に並んでいた客達を見ていて、自分と同じような年齢の人ばかりだったので、驚いたことがあった。ほとんど同じ世代なのだ。

そのコンサートのときに、最前列にファンクラブの人達が優先的に座っていた。そして、コンサートが盛り上がったとき、その人達が一斉に立ち上がり、手を上げて揺れ始めた。それを見ていて「亡霊のようだな」と自分がつぶやくと、女房も「ホントだね」と言った。みんな歳を取ってるから、若い時のようなキレがない。ファンクラブに入っていなくて良かったと思った。立つだけでも疲れてしまう。

話は逸れたが、そんなことで、人は分からんもんだなあと思った次第だ。K氏などは、軽薄な自分がペラペラと話をしているのを黙って聞いていて、心の中で「なにがビートルズだ!俺はイーグルスだぞ。しかも、ヴォーカルだぞ」と思っていたに違いない。自分もこれからは、少し寡黙にならないとダメかなと思ったが、無理だろうな。