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還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「憧れの横尾忠則さん」

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座禅で影響を受けた横尾忠則は、以前からアートの世界の先端を走っていて、ファッションなども当時の若者に大いに影響を与えていて、若者のカリスマになっていた。ロックグループ「サンタナ」のカルロス・サンタナとも親しくて、お互いを「魂の友」と言っていた。その頃のサンタナのレコード「LOTUS」、「AMIGOS」のジャケットは横尾忠則が書いている。特に「LOTUS」は、見開き22面ジャケットになっていて圧巻だ。

自分が横尾忠則のファンになった数年後に、千葉市に住んでいた叔母さんのところに遊びに行ったことがあった。その娘(従兄妹)が当時、上智大学や他の大学の神父さん達にキリスト教の歴史を教えていて、上智大学のキャンパスを案内して見せてくれた。

そのときに、その従兄妹が「横尾忠則の娘は、私の友達だよ」と言うので驚いた。しかも今、その友達が校内に居るから会いに行こうという。そして、「その友達に頼んで、父親の横尾忠則に会わせてもらおう」と言うので、とんでもないと断った。自分ごとき者が会えるわけがない。

2年ほど前だったと思うが、横尾忠則が五木寛之のテレビの対談番組に出た。その中で五木寛之が、横尾忠則の数多い著名人との交友関係について「あなたの交友関係は、曼荼羅図のようだ」と言った。横尾忠則は、恐縮して「そうですか? それじゃ、曼荼羅図の端っこの方にでも入れてもらえれば」と言うと、五木寛之が真顔で「いや、あなたを中心にして」と言ったので、横尾忠則は「え?」と驚いてキョトンとしていた。

その言葉が自分にはすごく印象的で、「本当にそうかもしれない」と思うようになってきた。横尾忠則は子供のように純粋で、自分を飾らない人だ。かといって、聖人というわけでもない。最近では、山田洋二監督に対して激怒した事件があった。

山田監督とは家が近所で親しく、よく2人で食事にも行っていたようだ。ある時、2人で寅さんシリーズのことを話していて、山田監督が「もう、やりようがない」と言ったら、横尾忠則が「いや、オマージュという方法がありますよ」と話した。山田監督が「それだ!」ということで、寅さんのオマージュ作品を作った。

しかし問題はその後で、横尾忠則がその映画を後で観たときに、大きなヒントを与えた自分の名前が映画のエンドロールにも、一向に出て来ない。しかも、そのオマージュ作品後の山田監督のインタービューでも、自分の名前が一切出なかったので怒った。

山田監督とは普段からかなり親しかったのに、これだけ怒ったのだからよほどのことだったのだろう。どんなに親しくても、礼儀というものがあるだろうと。怒るときは、子供のように純粋に怒る。とにかく自然体で、飾らないその姿や言葉はスッと心に染みていく。

最近、横尾忠則のことについて、他分野の有名人が書いた本を読んだが、みんなに慕われて尊敬されていて、知れば知るほどすごい人だと分かった。ミュージシャンの細野晴臣も横尾忠則を慕っていて、自身のバンドYMO結成前にメンバーとして誘ったことがあるそうだ。

横尾忠則は髪型をテクノカットにして用意していたが、実現しなかった。もし実現していたら、一体YMOでなにをやっていたのだろうか。今でもずっと自分の憧れの人だが、今年85歳という高齢で、体調もずっと悪いようなので気になっている。