今まで、30回以上は求人の面接に行ったと思う。パートで働きに出たのは4年前で、60歳の還暦を過ぎてからだ。最初の頃の面接はすごく緊張して、後で考えるとバカみたいなことや、恥ずかしくなるようなことを話してしまい、今でも思い出すたびに冷や汗が出てくる。ただ、30回以上も面接をやっていると、相手の顔色や言葉などの反応で、何んとなく「これは言ったら、あまり良くないな」とか「言った方が、いいかもしれないな」ということが少しずつ分かって来る。といっても、未だに分からないことばかりだけど。
面接員も1人ではなく、大抵は2人以上なので、1人に気に入られても、もう一人に気に入られないということも多々ある。ある幼稚園の管理人の面接では、本部から来たという若い女性担当員2名と、若い女性園長の計3名で面接をしたが、本部から来た担当員には気に入ってもらえたようで「すぐにでも勤めることは出来ますか?」とか、すでに採用が決まったようなことを言われた。ただその間、園長先生は黙って下を向いていた。すっかり採用が決まったと思っていたら、後日、不採用の郵便が届いた。
似たようなことは他にもあって、応募する前に一度施設に下見に行ったら、採用担当の男性に親切に施設の案内と説明をして頂き、後日そこに応募の電話をすると、その人の上司という方が電話に出て「あなたが、〇〇さんですか?〇〇から話は聞いています。すごくいい方だというので期待しています」と言う。それで数日後に面接に行くと、その人達も含めて5名の面接員で色々と質問されたが、いい感じだったので自分では採用は決まったと思っていた。しかし、これも後日、不採用の郵便が来た。
というように、どんなに面接で好印象を持たれたと思ったり、言葉でいいことを言われても、実際に採用になるまではどうなるか分からないというのが、今までずっとやって来て分かったことだ。採用になれば、だいたいは電話で「採用が決まりました」と言って来るが、郵便が届くとほとんどは送った履歴書と一緒に「残念ながら…」という文面の手紙が入っているので、手紙が届くと「あー、残念ながらか~!」とガッカリする。
採用されない時は、何度面接を受けてもダメで「俺はもう面接をいくら受けても、採用されないのではないか?」と、段々と落ち込んで来る。しかし、採用が決まる時は実にあっけなく「あれ?」という感じで、簡単に決まる。後で面接員に聴いたら、印象が良かったと言われたこともあり、面接員との相性もあるのかなと思った。
とにかく、何でもいいので採用されると嬉しいし、不採用になるとガッカリして落ち込む。これは何度体験しても、慣れることはあまりない。ただ、ショックから立ち直るのは、少しずつ早くなる。