オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「大阪では世話になった」

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最近、田舎の同級生が亡くなった。20代前半の頃、その同級生は当時大阪の会社に勤めて住んでいた。自分は四国に観光に行った帰り、連絡もなしで、到着した空港からその同級生に電話した。何の気なしにぶらっと大阪に寄ってみたのだが、彼が居ることを思い出し、会社に電話したらちょうど居て、空港まで車で迎えに来てくれた。

会うなり「俺は出張で、ほとんど大阪に居ないんやぞ!俺が居なかったらどうしてたんだよ。まったく、とんでもない奴やなあ」と言った。狭い部屋だったが泊まらせてくれて、翌日は2人で映画のはしごをして、確か4~5本は観た。観終わったら、さすがに2人とも「疲れたなあ」とつぶやいた。

電車で移動したが、そのとき彼は、当時田舎に帰っていた自分のことをバカにして、駅のホームで電車を待っている間、「どうや、すごいやろ。田舎のみんなに、すごいの見て来たって自慢してやれ!ほら、スゴイ電車の数やろ?」と笑って言う。自分も学生時代は東京に住んでいたので、「このー!」と思った。

それで、周りの人達に聞こえるように、「スゲーな!これが電車っちゅうもんか?スゲーな!」、「あの建物もスゲーな!ビルっちゅうもんかー!スゲー!スゲー!スゲー!」と大声で言うと、彼は真っ赤な顔をして、焦って周りを見回した。「な、なにを言ってるんだ!よ、よせ!」と言って、自分から離れようとするので、服を引っ張って行かせなかった。あのときの彼の狼狽ぶりが、今も目に浮かぶ。

その数年後に自分は結婚し、子供が産まれたときに、我が家に彼が遊びに来たことがあった。相変わらずで、そのとき産まれたばかりの我が子を見て「サルみたいやなあ」と言って、女房のひんしゅくを買った。それ以来、女房は「私、あの人、大嫌い!」と言うようになった。

それから数年後、自分は江別に出てきて、逆に彼は田舎に戻った。それ以来、ずっと会っていなかった。会う気になればいつでも会えると思っていたが、今度会えるのはあっちの世界ということだな。「散る桜 残る桜も 散る桜」か。