オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「友人、T氏」

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あれはもう、40年くらい前になるだろうか。自分がゴルフを始めてから5年ほど経っていた頃、会社の若い連中と友人Tと、近くのゴルフ場にプレイしに行ったことがあった。その時、Tはゴルフを始めたばかりで、あまりのヘタさに見ていられなくなり、仕方なく色々と教えてやったので、Tは私のことを"師匠”と呼んでいた。正確には呼ばせていた。

しかし、フォームとか色々と教えたが、覚えが悪く、尻っぺこもチョコンと後ろに出して格好も悪かった。内心「こいつはダメだな。ものにならん」と思っていた。センスのかけらもないと。ただ、本人が一生懸命だったので、可哀想だと思い、口には出さなかった。                                    

そして1ヶ月後に、Tと再びゴルフをする機会があった。すると驚いたことに、なんとTはすごい上達ぶりで、自分よりも上手くなっていた。聞くところによると、毎朝仕事の前に早朝ゴルフをしていたそうだ。センスのかけらもない者でも、数をこなせば何とかなるもんなんだなあと思った。

師匠がそんなTに対して、「ホホー、よく頑張ったね!」と一言、声をかけようと思ったその時だった。Tの口から、信じられない言葉が出た。薄ら笑いを浮かべながら、「へへへ、今度、教えてやろ~か?」と。 ( ̄∀ ̄*)へへへ~

その日を限りに、自分はゴルフクラブを二度と手にすることはなかった。屈辱の日であり、忘れようとしても忘れられない日になった。その日から、持病の糖尿病と高血圧が悪化し、現在も治療中。口惜しくて、再び彼になんとか師匠と呼ばせるために、またゴルフクラブを手にしようかと思ったこともあったが、彼と比べると当時の自分はあまりにもハンディがあると思い、やむなく断念した。

体重は、彼の方が自分よりもずっと少なくて痩せていたし、しかも自分は当時、糖尿病、高血圧、脂肪肝、蓄膿症、花粉症、盲腸手術、心配症、赤面症、対人恐怖症、自意識過剰、肩こり、体が異常に硬い、座高が高い、足が短い、人がいると小便が出ない等々、数えあげたらきりがないほどのハンディがあった。断念するしか無かった。

そして、あっという間にこの歳になってしまった。Tはあの後、シングル近くまで行ったようだが、歳と共にゴルフを止めて、最近はパークゴルフのクラブに持ち替えて、一人で練習を重ねている。Tは、現在は旭川市に在住だ。自分も、今の職場の同じ歳のU氏から「一緒にやろうか?」と誘われているので、やってみようかと考えている。

Tは、今はかなりスコアを縮めており、今年は大会にも出るようだ。いつか、Tとパークゴルフをやりたいと思っているが、また「教えてやろ~か!」と言われるのが嫌なので、練習しとかないとなあ。