オジさん NOW

還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「同じ話を何度も」

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数年前から、人の名前や映画のタイトルなどがかなり思い出せなくなった。考えても考えても、サッパリ頭に浮かんでこない。用事があって自室から居間に行ったり他の部屋に行ったりする時も、途中で「あれ、何しに来たっけ?」とか、買い物に出かけても「あれ、どこに行くんだったっけ?」ということが多くなった。それで、これも歳のせいだとずっと思っていたのだが、数日前の或る記事に「何でも歳のせいとかボケて来たとか思うよりも、そうではないと思った人の方がそうなる可能性は少ない」とかいうようなことが書いてあったのを読んで、成程そうかもしれないと思うようになった。

よく考えてみたら、若い頃にも考えごとで頭の中が一杯の時やボーっとしている時にそんなことがよくあったし、人の名前を覚えられないのは特技と言ってもいいくらいダメだったから、それを今さら「歳のせいとか、ボケて来た」なんて言っても、と思ったりする。

或る本には、「歳を取ると、若い頃よりも何ごとも深く考えるようになる」と書いてあったが、自分にとって、もうそれほど必要でないことを切り捨てたり、忘れるようにしているのかもしれない。断捨離が流行ったように、確かに歳を取ると捨てるものが色々とある。判断力も決断力も鈍くなったのではなく、より深く考えるようになったので結論を出すまでが遅くなっているのではないだろうか。

そういえば以前老人ホームの管理人をやっていた時に、介護士さんが認知症の入居者さんのことを「認知症の人は何も分からないと言うけれど、実際はすごく人のことを観察していて、同じ介護士さんでもきちんとやっている人の言うことは素直にきくけれど、そうでない介護士さんに対しては厳しい態度をとったりします。よく見ていますよ」と言っていたことがあった。そして自分も実際にその場面を見たことがあった。或る面は衰えて来るけど、逆に或る面が研ぎ澄まされて来るのだろう。

5年くらい前だが、我が家の玄関に迷い込んで来た認知症のお婆ちゃんがいた。女房が警察に電話をしに家の中に入った時に少しだけ自分が相手をしていたが、やはり同じ言葉の繰り返しやわけの分からないことばかり言うので適当に返事をしていたら、「違う!だからさっき言ったでしょ」と怒られたことがあった。いい加減に返事していると、怒られるのだ。

それと「歳を取ると、同じことを何度も言うようになる」とよく言われるが、自分の父親がそうだった。「ウワー!また、始まった」とよくお袋と陰で顔を見合わせて笑っていたが、自分もあの時の父親と同じくらいの歳になり、やはり人と話していると同じことを何度も言っている自分に時々気づく。ただ、それは相手も自分が前にした話をもう忘れているだろうと思ったり、どうせたいして聴いていないのだから覚えていないだろうと思って、分かってはいるけど同じ話をしているつもりだ。

しかし結局これがそういうことなのかと思ったりする。それと相手が無口の場合、自分は間が空くのが耐えられない性格なので、次から次ととりとめのないことを話し続けるのだが、その時に話すことが無くなって前に話したことでも話してしまうことがある。ということなのだが、説明すればするほど言い訳がましくなるので、この辺でやめておこう。

と書いていて、思い出した。父親がそうして同じ話を知人に何度もしていた時に、お袋が「何度も同じ話をしてるよ。この前も話したでしょ」と言うと父親が烈火の如く怒って、自分がさっき説明したのと同じようなことをお袋に言っていたのを思い出した。「俺は、分かって話してるんだ!」と。しかし、自分はその時、「あー!もう、こうなったら終わりだな」と思ったし、お袋や知人もそう思っていたようだった。今思うとかわいそうなことをしたが、今度は自分の番になった。