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還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「大迫力のボブ・ディラン」

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ボブ・ディランの初来日の時もまだ学生で飯田橋に下宿していたので、歩いて武道館まで見に行った。第一印象は、とにかく歌う声がでかくて圧倒的な迫力があった。クラプトンの時と同じで、これまた神様のような人だったので実際に見ていても信じられなかったし、オープニングの迫力のある歌声だけ覚えていて、それ以外の記憶がほとんどない。

ただ、ディランが演奏した曲はアレンジも変えていてあまり原曲をとどめていないし、歌い方もかなり変えているので最初は何の曲か分からなく、多くの観客も「何だこの曲は?」と思っていたようだ。それで、少し歌ってから何となく歌詞とかで分かって拍手するという感じだったが、声も昔の頃の声でないから尚更だ。

最初の頃のような、地べ たを這いずり回るようなあの歌い方では無くなってしまった。あれがすごく良かったのだが。ディランは歌が下手だと言う人が多いが、自分はずっと歌が上手いものだと思っていた。あのリズムに乗って語るような歌い方が抜群のリズム感というのか、すごいとずっと思っていた。

ディランを最初に好きになったのは、やはり「Don't Think Twice, It's All Right」や「Blowin' in the Wind」だが、アーロ・ガスリーやPP&Mの歌う「Don't Think Twice, It's All Right」も、いずれもすごく良くて好きだ。アーロ・ガスリーのは、フオーク界の大御所ピート・シガーとの共演のライブのもので、PP&Mもそうだがディランとも違う三者三様のアレンジで面白いし、それぞれがすごくいい。

ボブディランの海賊盤を東京に居た時に、かなり買い集めた。結構、面白くていい演奏のがたくさんあった。「Mama, You Been on My Mind」は、高校の時に旭川市のレコード屋で買った、ビートルズのレット・イット・ビーの海賊盤に入っていたジョージ・ハリソンのデモの弾き語りを聴いて、すごく好きになった。当時はディランの曲だとは思わず、ジョージの曲だと思っていた。その後に海賊版でディランの元曲も聴いたが、やはりジョージのが一番好きだ。後で、ジョージはソロになってからもこの曲を録音している。

学生の時に、ラジオで流れていたロイヤル・アルバート・ホールの海賊盤の「Like a Rolling Stone」を偶然聴いて衝撃を受けた。すごいドラムとディランの迫力の歌声に圧倒された。この時のバックバンドはザ・バンドで、この時もドラムはレボン・ヘルムだと思っていたが違うドラマーだったようだ。この演奏の前の観客とのやり取りも録音されていて、観客が「Judas!」とやじり、ディランが「I don't believe you」、「You're a liar」と言い返すのだが、こんなことが有っていいのかと思った。

「Judas! ユダ!(裏切者)」と観客がやじったのだが、今まではフォークの神様で、それを聴きに来た観客がエレキを持ってロックバンドを従えて演奏するディランに対して、愕然として怒ったのも無理はない気もする。ただ、この時のアルバムを聴くと演奏が終わった後の拍手もかなり聞こえてくるので、それを受け入れる者とそうでない者が半々だったのかもしれない。ディランがフォークから、ロックをやり始めた歴史的なシーンだった。

このロイヤル・アルバート・ホールの海賊盤を早速探して買って聴いてみたが、どれも素晴らしい演奏と歌で名盤だと思った。かなり後になってからこの海賊版が公式盤で発売されたので希少価値が無くなったと思ったが、それでもまた買ってしまった。それと、その後にこの時のライブが映画になったのだからすごいことだ。まだすべてを見ていないが。「Tell Me, Momma」、「One Too Many Mornings」、「Like a Rolling Stone」と、迫力のある素晴らしい演奏と歌だ。「Tell Me, Momma」のディランの素晴らしいボーカルとロビー・ロバートソンのギターは今聴いても鳥肌が立つ。

吉田拓郎の廃版になった初期のライブアルバムに入っていた「準ちゃんが今日の吉田拓郎に与えた多大なる影響」の元曲が、ディランの「The Lonesone Death Of Hattie Carrol」だが、この曲やザ・バーズがカバーした「My Back Pages」などが好きだった。

当時、ディランの詩集が箱入りで出たのを買って、少し読んでみたがよく分からないのでほとんど読まなかった。ディランの歌詞が難解だというのは有名な話だが、ただ歌詞の一部を読むと「My Back Pages」では、「私は今の方が、ずっと若い」とか、「Like a Rolling Stone」では、「どんな気分だ? どんな気分だ?家も無くて知り合いすらいなくて、転がる石みたいになって!」という胸に染みたり、胸に刺さるような言葉が心に残る。

その、ディランの名曲「Like a Rolling Stone」のオリジナルだが、やはりすごい。リズムギターがマイク・ブルームフィールドで、オルガンがアル・クーパーだが、ディランの最高傑作だと思う。「I Want You」もその流れだと思うが、この曲もすごくいい。

自分が高校生の時に、吉田拓郎がラジオのパーソナリティの番組を聴いていたら、この「I Want You」をかける時に「ビートルズにも同名の曲がありますが、もちろんディランの方が遥かにいいですが」と言ったので、随分と生意気な奴だなと思った。昔からずっと、ビートルズが好きだった。

だいたいこの時のメンバーだと思うが、色々な演奏が海賊盤で残されている。「She's Your Lover Now」、「I Wanna Be Your Lover」がいい。その後、ディランが声変わりして曲調も変わってからはほとんど聴かなくなった。だから、正式なアルバムで言えば「Blonde on Blonde」からは、ほとんど聴いていない。この後のアルバム「John Wesley Harding」から声もキレイになって歌い方も変わり、今までのディランとは違うようになってしまった。

そうして、しばらくディランを聴かなくなっていたのだが、「John Wesley Harding」から8年後に「Before the Flood」という、ザ・バンドとのライブアルバムを出した。これを聴いた時は、声質も歌い方も昔の呪文を唱えるような低い声で歌うのとは違っていたが、ものすごい迫力のある声とザ・バンドの圧倒的な演奏もあり、オープニングの「Most Likely You Go Your Way」を聴いてぶっ飛んでしまった。

他の曲もそんな感じで、ザ・バンドの代表曲も混ぜながら聴きごたえのあるアルバムになっている。ディランは、やっぱりすごいなあと思った。同じ頃だと思うが、昔のディランが戻って来たと騒がれたアルバム「Blood on the Tracks」も買って聴いたが、確かに弾き語りのいい曲が入っていて「Simple Twist of Fate」が好きだ。

そういえば或る雑誌に、ディランが日本に公演に来て何回目かの時に、ステージの最前列のところにいた観客の青年がディランをじっと見ていて涙を流していたそうだが、ディランが隣にいたギタリストだったかに「俺はもう歌えないよ」と言ったという。その青年の姿を見て、これ以上歌えないと言ったらしい。

その青年の気持ちは、自分も最初にディランを見た時にそういう気持ちになったからよく分かる。「これが!これが!あのずっと夢見て来た!」と泣きそうになった。恐らく大多数のディランファンはそうだったのではないだろうか。当時のディランは、伝説の人だった。ディランがそう言ったというのを雑誌で読んで、ディランという奴は実にいい奴だなあと感激した。まだ、今も公演に出て頑張っているようだ。

という感じでディランのことを色々と書いてきたが、改めて曲を聴いたり色々と調べてみると、記憶違いや勘違いをしていたり、知らなかったこともたくさんあった。ロイヤル・アルバート・ホールのライブ盤ということで最初に出た海賊盤は、実はマンチェスターのホールで演奏されたもので、その後に本当のロイヤル・アルバート・ホールで録音された海賊盤が出ているようだ。知らなかった。

自分が聴いていたのは、最初に出たマンチェスターのホールの方で、その後の本当のロイヤル・アルバート・ホールのも先ほど少し聴いたが、演奏もディランの歌もほとんど同じ感じだが、やはり先のマンチェスターのホールの方が出来はずっといいと思う。歴史的なやり取りもあったし。色々な意味でも名盤だと思う。

ただ、もうバイオグラフィーとかは極力書かない方が良さそうだ。間違いだらけでは、どうにもならない。クラプトンの記事は大丈夫かなあ。あくまでも独断と偏見の個人的見解ということで、御了承のほどお願い致します。<(_ _)>