オジさん NOW

還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「とんでもないオッサン、ロイ・ブキャナン」

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エリック・クラプトンとボブ・ディランの武道館でのコンサートの他にも、自分が東京に学生でいた頃は外タレラッシュだったのか、海外の大物ミュージシャンが続々と来日した。全て初来日だったようだ。ニール・ヤングも武道館でコンサートをやったのを見に行ったし、クロスビー&ナッシュも武道館に見に行った。武道館以外では、中野サンプラザホールでディブ・メイスンを見た。

そして後楽園ホールに、伝説のギタリストのロイ・ブキャナンを見にいった。他のミュージシャンのコンサートは、あまり覚えていないのにロイ・ブキャナンのコンサートだけは今でもハッキリと覚えている。後楽園ホールは、当時はテレビの「笑点」を収録していたこじんまりとした、あまり立派とは言えないホールだったが、これが抜群の観客との距離感で雰囲気的にすごく良かった。もちろん、ロイ・ブキャナンの演奏が素晴らしかったことは言うまでも無いが。

まず、ハンチングをかぶったオッサンのようなロイ・ブキャナンが登場したのだが、とにかくリラックスしていてタバコかパイプをゆっくりと一服して、それからやっと演奏を始めるという感じで、演奏が終わるとまたゆっくりと一服という繰り返しで、観客のことなど眼中にないような感じなので観客もみんな笑ってしまい、とうとう観客席から「早くやれ!オヤジ!」という声が飛んだ。それで観客がみんなドーっと笑うという何とも言えぬ雰囲気になった。

肝心のロイ・ブキャナンもニタニタ笑っていた。それからは一服の間に、観客席からは指笛はピ ューピューなるやら掛け声はかかるやらで、みんなもリラックスして楽しんでいる感じだった。きっと、ロイ・ブキャナンの地元のアメリカの小さいホールでのコンサートは、こんな感じなのかなと思った。

しかし演奏が始まると、それはすごかった。エリック・クラプトンもジェフ・ベックも彼の大ファンだったというのもうなづける。そして演奏が次々と終わって最後の曲になり、名曲「メシアが再び」の演奏になると観客も興奮して立ち上がり、しかも、演奏しているロイ・ブキャナンが後ろ向きになった時にライトが突然パーッとロイ・ブキャナンの前方から観客席の方に照らされて、その明かりに向かってギターを弾きながらロイ・ブキャナンが舞台のそでに去って行くという心憎い演出だったので、自分を含む観客はもう大興奮で前のめりになって歓声を上げていた。

「これぞ!コンサート!」と思った。今でも自分にとっては忘れられない最高のコンサートだった。ところで、このロイブキャナンは1988年に公共の場所で酩酊して牢獄に入れられたが、そこで自殺してしまった。そのロイ・ブキャンのコンサートが、東京での最後のコンサート鑑賞になった。