▢ マンションがネットで覆われた
今月の初めから、自分がパートで管理人として働いているマンションの「大規模修繕工事」が始まった。まずは、2階建ての仮設現場事務所をマンションのすぐ前に設置することから始まった。昼前の掃除のときは無かったのに、午後2時頃に巡回に行くと有った。わずか、2~3時間の間に大型トラックの荷台に積んで来て、クレーンで下ろして設置したのだろう。
その後、電気業者が来て、近くの電柱から電気の線を仮設事務所に引っ張っていた。それから、足場の業者が来て1週間か10日くらいで、1階から9階の屋上までの周りを組み立てて、9階建てのマンション2棟をすべてグレーのネットで覆ってしまった。とにかく手早い。4~5人の職人で、黙々とあっという間にやってしまった。
これから4階から9階までの窓枠と窓の交換工事と、1階から9階までのすべての外壁の塗装が始まる。先般、エントランスで掃除をしていたら、初顔のここの入居者と偶然会い、今の工事の話になった。70代くらいの男性だが、このマンションのことを異常に詳しく知っていて、色々と教えてくれた。
▢ 何で捕まった?
その人が言うには、このマンションは東京の業者が建てて築30年以上は経っているが、この建物は本州仕様なので、当初は廊下側の壁はなく、雪が入り放題だった。それで、どうにもならなくなり、後から壁と窓を取り付けたが、これまた本州仕様だったので、完全な対策にならず、結露もひどくて水も廊下に溜まり、寒さも防げなかった。
壁も窓も後付けなので、ヒビが入ったりして痛みもひどい。だから、それを今回、修繕するんだと、工事の関係者でもないのにやけに詳しい。「詳しいですねえ」と自分が言うと、「俺は以前、ダイワハウスにずっと勤めてた」と言う。ダイワハウスと言えば、この業界ではトップの会社だ。超大手というところだろう。
そんな人がどうして、こんなオンボロマンションに1人で入居しているのかと思ったりもしたが、道理で詳しいはずだ。そして、このマンションを作った会社は、すでに倒産してなくなり、「社長は、これだよ」と言って両手を前に出した。手錠だ。社長は警察に捕まったと言う。何故、捕まったのかは聴かなかったが、悪いことをやったのは確かだろう。今度会ったら聞いてみよう。
▢ 信じられない!
他の入居者の人達も、大規模改修工事ということで仕方ないなあと諦めているが、昼間でも廊下も暗く、裏のベランダもすべて足場とネットが掛かっていて薄暗い。風の通りも悪くて、暑いという。この工事が、11月まであるのかとウンザリした様子だ。もう、雪が積もっている時だ。マンション内も暗いので、気持ちも暗くなる。入居者は大変だな。
ところで、隣のマンションも足場を組んでネットを張って塗装を終えたが、これがグリーンも入っていて、以前よりも遥かに見栄えが良くなり、明るくなった。それで、我がマンションの塗装はどんな色になるのだろうかと、現場事務所に居る若い担当者に聴いたら、「前と同じ、グレーですね」と言う。
「えええー!バカじゃないのー!」と驚き、その担当者に「隣のボロマンションも、塗装だけであんなに見違えるようになったのに、なんでもっとパッとした色にしなかったんだろ?」と言うと、担当者は「普通は、そうするんですけどねえ…。でも、ここの管理組合の会議で、グレーにすると決まったようです」と言う。どうせ、ジイサン連中が大して考えずに「今までのままでいい」とか言ったのだろう。
▢ もったいないなあ
まあ、俺の金でやるんじゃないからいいけど、でも入居者の人達も明るい色の方が気持ちがいいだろう。中はヒドイんだから、見栄えだけでも良くしたら、外見を見て「ここに入りたい」と騙される人もいるんじゃなかろうか。今の政治と同じで、ジジイの話を聴いて言いなりでやってるようじゃ、終わってる。
明るい色になれば、ヨレヨレの高齢の入居者も少しは元気になるだろうになあ。疲れている老若男女、みんなも少しは元気になる。同じ金を使うなら、もったいないと思わずにはいられない。この大規模修繕工事は、入居者の管理費とかの積立金で行っているはずだ。「もったいないなあ」とつくづく思う。