キース・リチャーズの自伝を読んでいて、色々なことが分かった。ビートルズは、他のバンド同様に、後半は仲間割れをして解散してしまったが、ローリング・ストーンズは、ブライアン・ジョーンズが亡くなったり(その前に辞めさせられている)、ビル・ワイマンが脱退して、2度のメンバー変更があったが、今でも解散しないでオリジナルメンバーのキースとミック、そしてドラマーのチャーリー・ワッツがいる。
ずっと仲良さそうに、お互いに笑いあっている写真が音楽雑誌によく掲載されていたので、キースの統率力がいいんだろうなと思っていた。しかし、自伝を読んでいると、後半に「ミックの裏切り」という見出しのところなどが出てきて、ミックとの間で色々と確執があったことが分かった。やはり、どこのバンドも同じなんだ。
ミックは、キースが麻薬の裁判で1ヶ月くらいいなくて、その後バンドに戻ったときに、それまではキースが主導して新しい曲のレコーディングを指揮していたが、突然ミックが主導するようになったそうだ。キースが少しでも何か言おうとすると「うるさい!黙れ」と繰り返して、キースに口を出させなかったそうだ。
それと、みんなでローリングストーンズの次のコンサートを考えていたときに、ミックが勝手にソロ活動を始めて、他のミュージシャンとアルバムを作った。さらに、そのメンバー達とソロコンサートに出ようとしていたので、キースは怒り心頭に達した。その後の、ミックの英国の勲章の授与などでも、キースと揉めている。
コンサートでミックと同じホテルに泊まっていたチャーリー・ワッツの部屋に、ミックが内線電話をして自分の部屋に呼び出した。「俺の部屋に来てくれないか、俺のドラマー!」とふざけて言った。すると、数分後に部屋にやってきたチャーリーが、ミックの胸ぐらをつかみ「2度と言うな!俺のシンガー!」と言って1発ぶん殴った。という話もキースの自伝に書いてあった。寡黙なチャーリーは、怒ると怖い。
ということで、何年も同じバンドでずっと一緒にいると、どんな間柄でもいさかいは必ずあるようで、クリームもCCRもイーグルスも、他のどんなバンドも、人間関係や金銭関係とかで解散したりして、揉めている。クリームは、ドラムのジンジャー・ベーカーとベースのジャック・ブルースの仲が悪くて解散しているし、イーグルスはギターのドン・フェルダーとグレン・フライが大喧嘩して、ドン・フェルダーが辞めている。
イーグルスのこのときの様子が、ドキュメンタリー・ビデオに残されている。音声だけだが、グレン・フライがすごい剣幕でドン・フェルダーを追いかけて、「あの野郎!どこだー!ぶん殴ってやる!」とか叫んでいた。かつては、後で入って来たドン・フェルダーのことを「エリック・クラプトンと同レベルにいる、素晴らしいギタリストだ」と絶賛していたグレン・フライだったのだが。
どの世界でも、同じ人間とずっと一緒にやっていくのは大変なことで、それに金銭が絡むとさらに難しいことになる。バンドの素晴らしい音楽の陰には、色んな葛藤がある。それにしても、そんな憧れのロックスター達も、もうすぐ80歳になろうとしている。そして、自分も66歳になった。