昨日ネットでニュースを見ていたら、「レイラのギター、1億円!」という記事があった。デュアン・オールマンが、アルバム「いとしのレイラ」の時に弾いていたギブソン・レスポールのエレキギターが、米ジョージアで開かれた競売に出品され、何んと1億3300万円で落札されたという記事だ。未だに「いとしのレイラ」は伝説だ。
1974年10月末に、エリック・クラプトンが初来日して、武道館でコンサートを行なった。自分は学生で、ちょうど東京の飯田橋に下宿していたので、武道館まで歩いて行ったが、確か20分くらいだった。武道館の席は左斜め後ろ?で、クラプトンの後ろ姿しか見えなかった。今思うと、よくこんな席まで売ったもんだ。
クラプトンがステージに出て来たとき、「足がある!」と思った。「ギターの神様」だから、幽霊みたいに足が無いんじゃないかと思えるくらい、夢のまた夢の存在だった。小さな尻で華奢で、神様なのですごい存在感や、威圧感があると思っていた。
その数日後に、お茶の水駅前の楽器店のショー・ウィンドウの中に、「エリック・クラプトンが、実際に使用したピック」という貼り紙があって、クラプトンが実際にコンサートで使用したというピックが、1枚飾ってあった。貼り紙には「リハーサル後に、アンプの上に置いてあったピック」と書いてあった。
それを誰かが持って来たのだろうが、売り物にするのは如何なものかと思った。確か、1万円くらいだったと思う。学生には大金なのと、何か安っぽいミーハーみたいな気がして、買うのをやめた。しかし、その後も「やっぱり、買えば良かったかな?」と考えていたが、数日後にそこを通ってウィンドウを見ると、なくなっていた。
この最初のコンサートのときのクラプトンは、結構酔っぱらっていたようで、日本の観客が欧米の観客と比べるとあまりも静かなので戸惑って、観客に悪態をついていたと、後で音楽雑誌で読んだ。しかし、この後、クラプトンは日本を非常に気に入って、今まで何度も公演にきている。
クラプトンは後で、英国の記者のインタビューで、「世界で一番最高の観客は日本人だ」と言ったそうだ。最初はシーンとしているので戸惑ったが、その内、観客が真剣に演奏を聴いていることに気づいたそうだ。「自分にとっては、最高のオーディエンスだ」と言っている。
頭を振り乱して、踊り狂うだけが観客の姿ではない。さすがは、クラプトンだと惚れ直した。今まで、色々な外タレのコンサートを見てきたが、日本人の若い観客が「お前ら、何やってんだ!盛り上がれよ!」と立ち上がって、周りに拍手をするように叫んでいたのを見たことがあった。
しかし、肝心のミュージシャン自身が、それを見て苦笑いしていたし、「何も欧米の観客のマネをしなくても、日本人は日本人の聴き方があるのになあ」と思った。それが分かっているクラプトンが、すごく好きだ。