オジさん NOW

還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「不思議なこと」

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5年前の話になるが、不思議なことがあった。自分の父親の命日の日のことだ。女房は朝から仕事に出かけたので、一人で昼飯を食べた後にソファに横になり、録画した連続TVドラマを観ていた。段々と面白くなってずっと観ていたのだが、今日は父親の命日なので線香をあげて、軽く般若心経を3回ほど唱えて拝もうと前日から思っていたので、億劫だがサッサと終わらせて、またTVドラマの続きを見ようと思っていた。

父親の命日の5日前は母親の命日、そしてその翌日は女房の父親の命日なので、まとめて3人拝んだろかと仏壇のローソクに火をつけて線香を焚き、昔から両親がずっと使ってきたお経の冊子を開いて読もうとした途端だった。突然、”グワー!”っと胸の奥から何かが込み上げてきて、いきなり涙が溢れ出てきた。「何だこれは!」と驚いて茫然とした。その後もなんとか般若心経を読もうとするが、涙と嗚咽で言葉が出てこない。それでもなんとか般若心経をつぶやくように、途切れ途切れで声を絞り出して3回繰り返して読み終えたが、終わった途端にまた突然”グワー”っと込み上げてきて涙が止まらなくなり、声を出して泣いた。

その後はしばらく放心状態で、何故こんなことになったんだろうかと仏壇の前に座ったままずっと考えていた。「バチあたりな自分に天罰が下ったのか?」、「それともなにかの予兆なのか?」、「自分のお迎えがそろそろ近いのか?」など色々と考えた。でも、なにも分かるはずがなく、その後もずっと考えていてなにが原因だったのかまったく分からないままでいたが、ある時、もしかしたらと思うことがあった。

それは、その数日前に風呂に入った時に、壁に貼ってある愛犬キートンの写真を見ながら、「死んでしまったら、すべて無になるのか? この世でもう終わりなのか?」、「もし、今もまだどこかに居て俺たちを見ているのだったら、何か合図をしてくれ」と愛犬キートンや、亡くなった両親にも何度か心の中で問いかけていたことを思い出した。風呂の明かりをパッパッと消すとか合図してくれと。しかし当然、何も起こらない。傍から見たら、ちょっと頭のおかしいオジサンに見えるだろうが、本人は至って真剣だ。

実は作家の遠藤周作氏が、宿泊していた旅館の部屋で、亡くなった友人のことを思って、夜寝る時に「もし、あの世で見ているのなら、なにか合図をしてくれ」と声に出して言うと、部屋の明かりが急にパッパッと2回消えたという話を読んでから、自分もいつかやってみようと思っていた。それで今回のことは、もしかしたら両親や愛犬キートンが合図を送ってくれたんじゃないかと思った。「いつも見てるよ」というメッセージだったのかなと。それが一番、あの出来事の原因として考えられることだと思った。

こんなことはあまり人に話すことではないし、話してもとうとう頭がおかしくなったとか、感傷的になってるとか言われて笑われるだろうし、まして自分でももしかしたらそうなのかもしれないと思ったりもする。ただ、それまでサッサと拝んで終わらせて、面白いTVドラマの続きを早く見ようという不謹慎な考えでいたので、感傷的な気持ちなどほとんどないはずだし、頭もまだそれほどおかしくなっていないと思ってもいた。

いずれにせよ、たいして信仰心もなく、いい加減でチャランポランな自分にとって、あんなことは初めてで驚きの出来事だった。今でもあれは何だったのだろうかと考えることがあるが、ただ、取って付けたような安易な答えは出したくないと思うし、今は分からなくてもいいと思っている。いずれ自分も天に召される時に、あれがなんだったのか分かる時が来るだろうと思うからだ。あれから、何度も仏壇の前で般若心経を唱えてはいるが、あの時のようなことは一度もない。

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