この前、友人O氏と話していたら、ビル・エバンスの「Waltz for Debbie」という曲がすごくいいと言う。実は自分も最近、ハイレゾ楽曲提供サイトで、その曲が入っている名盤と言われている同名タイトルのアルバムを聴いていて、中々いいなあと思っていたところだったので驚いた。
今まで、何度もジャズを聴いてみたことがあったがどうもダメで、自分には向いていないと思っていた。それが、この曲はいいと思った。他のジャズ・ピアニストの演奏も色々と入っているオムニバス盤の曲も聴いてみたが、その中でいいなと思った3曲の演奏者を見てみたら、いずれもビル・エバンスだった。何故だろうかと考えたら、ビル・エバンスの曲はどれもメロディアスで、音色が綺麗で情感もこもっている。
ネットで調べてみたら、このアルバムの時のベーシストとドラマーは2人とも白人で、ビル・エバンスを含めて3人の白人トリオだった。それまでは、後の2人は黒人だと思っていた。自分は、ブルースも本家の黒人が演奏するものよりも、白人がカバーして演奏する「ホワイト・ブルース」と言われるものが好きだ。黒人が演奏する泥臭くて重いブルースよりは、軽いブルースが好きなのだろう。ジャズに関しても、その傾向があるのかもしれない。
そういえば、モータウンという独立レコードレーベルがあるが、ここのスタジオで作られるR&Bやソウルミュージックは、モータウン・サウンドと言われてすごく有名だ。大御所の黒人シンガー達も、ここで有名になっている。それで、スタジオ専属のバックミュージシャンも当然、ほとんど黒人だろうと思っていたが、実は全員が白人だ。誰もが、それを知って驚いたそうだ。自分も驚いた。
O氏と色々な話をしていたら、O氏が「今までずっと、ポップスやロックとかを聴いていた人が、50代や60代になってから、ジャズを好きになる人が多いそうですよ」と言ったので、やっぱり、そうなのかと思った。「ポップスやロックとかは、ほとんどが同じような旋律ですが、それに飽きてしまって、違う旋律のものが新鮮に感じて、聴くようになるようです」と。
成程、それで謎が解けたような気がする。正直、60歳辺りから、今までの音楽を聴くのが辛くなって来たというか、飽きて来たというのか、「もう音楽は、聴かなくてもいい」とさえ思うようになっていた。それが、今回のジャズで、新たな世界が開けて来たような気もしている。