オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「立つ鳥、跡を濁さず…か?」

相変わらず、自分が勤めるマンションでは色々なことがある。もう2年半も働いているマンションは、現在は大規模改修工事の真っ最中で、ずっと黒いネットが2棟の建物全体を覆っている。最近は、裏のベランダの床や壁の防水処理や塗装などをしていて、シンナーの臭いや騒音などで、入居者からかなり文句を言われているようだ。塗装業者の人と話していたら、「苦情が多くて大変だ」と言っていた。

真夏の一番暑い頃にベランダの窓を開けられないので、部屋の暑さがひどくなり、その頃の月曜日に、83歳の高齢男性Kさんが脱水症状で部屋で倒れて、救急車で運ばれた。Kさん担当のケアマネージャーが、午後2時頃に管理人室に来て、Kさんと連絡が取れないという。電話も出ないし、玄関の郵便ポストを見てみたら、新聞が3日分くらい溜まっていた。

     

実は、その前の週の金曜日に一度部屋の中で倒れ、合鍵を持っていて近くに住んでいる妹さんがやって来て、カギを開けて救急車を呼んだそうだ。もう一人の管理人の当番の時だ。救急病院に運ばれたが、入院するところがないと言われて、何とその日の夜にまた戻って来たという。そして、恐らくその晩に倒れたのだろう。金土日曜日と倒れたままで、月曜日の午後4時頃に見つかるまで、そのままだったのか。          

このKさんは市内で農家をやっていたがやめて、3年くらい前にこのマンションに移ってきたそうだ。1人で住んでいて、デイサービスに週2日通っていた。そして1年ほど前に、癌が見つかった。手術は、以前やった心筋梗塞のために心臓が弱いので無理らしく、薬で治療していた。最近は散歩もしたりして、元気そうで「以前より、元気になったんじゃないですか?」と話していたばかりだった。

            

これはマズいと思って、ケアマネジャーと2人で部屋に行き、ドアのインターフォンを何度も鳴らしたり、ノックしたり、呼びかけたが反応がない。合鍵を持っている妹さんには、ケアマネージャーがずっと電話してるが、留守電で出ないという。仕方ないので、妹さんからの連絡待ちということで別れたら、約2時間後に妹さんがやって来た。自分と2人で急いで部屋に向かった。午後4時頃だった。

妹さんは合鍵を差し込もうとするが、なかなか鍵穴にうまく入らないので、自分が代わって開けた。ドアを開けると部屋の電気は点いたままで、部屋の正面奥に素っ裸のKさんがひっくり返っていた。 妹さんが「兄さん、大丈夫?」と何度も言うと、腕を上に何度もゆっくりと動かした。妹さんは「ああ、生きてる!」と言った。

その後、救急車が来て、ケアマネージャーもやって来て部屋に向かった。自分は午後5時の終業時間だったので、そのことを伝えて帰った。救急車が来たら、生きている場合はすぐ搬送しないで、色々と話しかけて意識を確認して、1時間くらい経ってから搬送する。ということが、自分がここに来てから2回同じことがあったので、分かっていた。

         

      

 

翌日、妹さんが管理人室にやって来て、Kさんは4週間ほど市の病院に入院すると言った。それと、「明日の13時に、部屋の掃除の業者が来ますので、よろしくお願いします」と言った。「私は仕事もあるし、ちょっと掃除が大変で…」と言っていたが、Kさんはずっと倒れた間は大も小も垂れ流しで、汚れていたのだろう。そういう専門業者が江別にもあるのかと驚いた。社長?と作業員の2人で来て、社長はすぐ帰った。

自分のときは、どうなるんだろと考えた。女房は居てもあてにならない。もし自分が1人で住むようになったら、近くに住む息子と安否を確認する方法を考えるしかない。死んでから、日数が経てば経つほどドロドロになっていき、汚れも臭いもひどくなって後始末が大変で、金もかかるそうだ。逝ったら、出来るだけ早く発見された方が、遺族にも面倒をかけないのだ。