▢ 透析用の腕の血管!
Mさんは前日、透析するのに腕に専用の血管(シャント)を作る手術をしていたが、この腕がスゴイことになる。昔から透析をしている会長に、その右腕を見せてもらったが、ボコボコだ。透析をするために毎回針を刺すのだが、段々と血管が膨らんで大きくなるようだ。それを見ただけでも、透析をやるということは大変なことだと分かった。
右腕がダメになったら、次は左腕に変えるらしい。血管同士を手術で繋いで太くするそうだ。Mさんの血管は細いようで、上手く繋がるかどうか分からないので、ダメなら再手術で、違う血管をまた繋ぐという。「もう手術をしたくない」とMさんは言う。何度も担当の若い医師がその血管の様子を見に来て、確認して行った。順調なようだ。
聴診器が売店で売ってるので、担当医から買って来るようにMさんが言われたそうで、自分でも繋いだ血管に血液が流れているか、確認するらしい。1,700円くらいだったと言っていた。買って来た聴診器を触っていて「他になにか使えますかね?」とMさんが言うので、「若い娘とお医者さんごっこしたらダメですよ」と言ったら、爆笑していた。
▢ 原因不明の病気のMさん
Mさんは51歳で、1ヶ月ほど前から突然、体調が悪くなり、地元の病院に通っていたが良くならず、病院を次々と紹介されて、この病院に来たという。腎臓の数値がかなり高くて透析を受けるようになったが、その原因が分からないらしい。それで、ずっと検査をしていて、原因がはっきりするまで検査をするらしい。3週間もここに入院しているという。
その前は健康体で、病気1つなかったそうだ。運送業の運転手でずっと休ませてもらっているが、この先どうなるのかと不安そうだった。この人も、今回透析を受けるようになったので「障害者1級」の対象になった。障害者手帳を見せてくれた。
医療費の負担がそれでかなり減るようだが、これから透析で週に3日間も半日がダメになり、それの合間に仕事ということになると、どうなるのだろうと言っていた。独身だが、生活が出来ないのではないかと心配していた。これが家族もあって子供もいたら、一体どんなことになるのだろうかと話していた。
▢ 聞けば聞くほど怖くなる今回の検査
翌日、自分のカテーテル検査が午後2時頃から始まった。心臓の血管の中を見るだけと思っていたが、状況を見て治療もするかもしれないという。ステントという血管を広げたりするやつだ。状況次第で、検査時間も変わると言われた。心臓のカテーテルなので、場合によっては何があるか分からず、リスクも色々とあって、会長のように集中治療室に行く場合もある。
その説明と書類が事前にたくさんあり、段々と今までのカテーテル検査とはわけが違うと、不安になっていった。担当医も「脅かすわけではないけど…」と怖いリスクを言うので、大いに脅かされた。検査室に運ばれたら、中年の女性2人と若い男性1人の3人がいたが、明るくてテキパキしていて陽気で、暗い気持ちが明るくなった。
検査が始まって、先生が色々な角度で前面上のディスプレイ画面で、心臓の血管を見て行った。すべて見終わって「大丈夫ですね。石灰で狭くなっている箇所も血流があるようだし、気になる枝葉の血管も何とか大丈夫なようです。とりあえず、手術は必要ありません。薬で様子を見るということになりますね」と言った。まだ、もう少し生きることが出来るかなと思い、先生に「ありがとうございます」と言った。
▢ 一生懸命、動いてまっせー!
それと、自分の心臓が一生懸命動いている様子が、左上の画面に写されているのを見たら、なんともいとおしくなった。こんなに頑張ってるんだなと思うと、それこそ胸がいっぱいになった。そして、他の臓器もこうして、一生懸命頑張っているんだと思った。
足の先から頭のてっぺんまで体の各箇所がそれぞれ頑張っているから、こうして何とか生きていられる。大事にしないとな。すぐ忘れるけど。 検査は30分で終わった。当初は、最短で1時間と言われていたので、かなり早かった。部屋に戻るとMさんが「早かったですねえ」と驚いていた。