オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

『映画「護られなかった者たちへ」』

先般、ツタヤの割引クーポンがメールで発行されたので、レンタルビデオを1枚110円で、3枚借りてきた。その中の1枚が、阿部寛と佐藤健が主演の「護られなかった者たちへ」だ。阿部寛の刑事ものはほとんど観ているが、どれも面白かったので今回も期待した。Amazon videoだと、この作品は500円もするので、今回のように1枚110円で借りると約5倍だ。Amazon video、便利だけど高いなあ。

この映画は、今までのものとは少し違っていた。観終わった後に、「生活保護」がテーマになっていると分かった。最後に、サスペンスらしくどんでん返しがあったが、底辺に流れる「生活保護」の実態が、心に重くのしかかった。

日本の生活保護は、世界の先進国から比べると、かなり劣っているらしい。生活保護の適応となる世帯のうち、実際に利用している世帯の割合は、日本が約2割、イギリスとフランスは約9割、ドイツが6割だそうだ。それで、日本は低過ぎるということで、国連から指導が入ったという。

        

そんなことなど、まったく知らなかった。これが我が国の実態なのか。庶民には無関心で冷酷な、我が国の政治に対して「またか!」という気持ちだ。先進国の中で最高の議員報酬、そして、先進国の中で最低の国民への政策。毎度のことだが、怒りがこみ上げてくるし、情けなくなる。理不尽なことばかりだ。

確かに、生活保護を利用した、おかしな連中もいるし、周りの目を気にした事情があって、辞退したりする人もいるようだ。しかし、そんな例外は何をやってもあることだ。 わずかな例外を騒ぎ立てて、「だから、なにもしない方がいい」というのが、政治家や役人連中の典型的な考え方だ。

困窮している人達は、たくさんいる。一体、今までなんのために、政府に高い税金をふんだくられて来たのだろうか。この映画を観て、当初の予想していた内容とは違っていたが、「生活保護」という実態について考えさせられたし、弱者のための政治や政策でなければダメだと改めて思う。     

       

        

映画が終わり、エンドロールが流れた時にDVDを取り出そうとしたがやめた。桑田佳祐の「月光の聖者達」という曲が、流れたからだ。映画がそのまま続いているように感じて、最後までずっと聞いていた。鎮魂歌のような心に響くメロディ、そして桑田佳祐の情感あふれる歌声に、胸が詰まった。

出演者の阿部寛、佐藤健、倍賞美津子、清原果耶、いずれもいい演技だった。わざとらしくなく、大袈裟でもなく、自然でとても良かった。ずっと最後まで、没頭して観れた。佐藤健は、思っていたより上手く、歳を重ねていくと味のある俳優になるのではないだろうか。