この前、テレビを観ていてバチバチとチャンネルを変えていたら、NHKでやっていた番組に目を魅かれた。それは、日本の看護師や介護士の女性が、何人もオーストラリアの介護施設や病院で勤めているという内容だった。
途中からしか観ていないし、最後まで観ていないが、「あ~、ここまで各国は将来の福祉などを考えて、色々と手を打っているのになあ」と思うと、「それに比べて、我が国はすべてが、後手後手で、第一、政府は本当にやる気があって、真剣に考えているのだろうか?」と、いつも口惜しく思う。
我が国の介護士不足にしても、3年前に勤めた老人ホームの事務部長が「今もそうですが、後数年で、介護士は完全に足りなくなります。だから、東南アジアから介護士をドンドン採用するか、ロボット化するしかないでしょう」と言っていた。
しかし、その東南アジアから介護士になりたい人は多くいるのに、その資格試験が非常に難しく、日本人でも分からないような内容だ。だから、彼女たちのほとんどが試験に受からず、働く資格を得ていない。その試験内容が、介護士に必要なことなのかと一時話題になった。成り手はたくさんいるのに、わざわざ門を狭くしている。
なにをやるにしても、トップダウンでやらなければ、いつまで経っても到底出来っこない。全部、下の者に丸投げするだけだから、誰も責任もなければ、進捗も経過も分からない。新たな庁をいくら作っても格好だけで、結局、なにも役割を果たせず、利権の温床になるのが関の山だ。
なにをやっても本気でやっている気がしなくて、どれも「〇〇ごっこ」という感じしかしない。子供のお医者さんごっこや、電車ごっこのようなものだ。子供なら可愛くていいが、しかし、我々の血税でかなりの収入を得て、重要な政治を司る大の大人の政治家たちが「政治ごっこ」とは。
先の看護師や介護士のオーストラリアでの給与を聴くと、日本の倍だという。しかも、日本と違って、残業があまりないそうだ。「今まで仕事に追われていた日常が、やりたいこともやれるようになり、明るい未来が見えてきた」と、彼女たちは言う。
だから、オーストラリア国内はもとより、海外からもどんどん看護師や介護士がやってくるのだろう。東南アジアからも、ますます行くようになるだろう。国の将来に対する計画が、しっかりしている。恐らく、他の先進国もこうなのだろう。
経済ジャーナリストの萩原博子氏は、児童手当の所得制限の撤廃について、こんなことをネットに書いていた。「与野党とも、丁寧な制度設計がない議論で、きわめて無責任だ。所得制限の設定と撤廃を安易に繰り返すのは、無計画の証拠だ。制限を撤廃するにしても財源はあるのか?岸田政権は何かと『大風呂敷』を広げるが、結局、増税や社会保険料の引き上げなど、国民へのツケまわしばかりだ。総合的で緻密な議論が必要だ」と。
まさしく、その通りだと思う。我が国の政治は、計画性のなさに尽きる。そもそも、政治家自体が真剣にやる気がないのだろう。与野党ともに、賛成反対を安易に繰り返すだけの「政治ごっこ」ばかりで、情けない限りだ。誰がいったい、我が国のことを真剣に考えているのだろうか?