先日の朝10時に、隣近所のオジサン2人が一緒に、我が家にやって来た。どうしたのかと思ったら、2軒隣りで個人で建設関係の仕事をしているSさんが、去年、タイヤショベルを購入し、今年から個人宅の除雪をやるので一緒に頼まないかと言う。1世帯で、1シーズン3万5千円と安い。前に頼んだ業者は、4万5千円くらいだった。
ということで、2人のオジサン達がその話で我が家に来たのだが、2人とも自分よりも3歳以上年上で、確か、Eさんは75歳位でKさんは70歳位だ。Kさんが、何故かずっとハイテンションで、同じことを何度も何度もしつこく言うので、おかしいと思ったら、案の定、朝から酒を飲んで出来上がっていた。
そして、Eさんを無理やり誘って、我が家に来たそうだ。そのKさんは、自分がEさんと話している途中でいなくなり、少ししたら、自転車に乗って目の前をケラケラ笑いながら、どこかに走り去っていった。フラフラと蛇行して、完全な酔っ払い運転だ。Eさんが「車にひかれるなよー!」と叫んだ。歩道を走っていたが、車道に出たら終わりだ。
このKさんは、自分がここに引っ越して来たときには、奥さんとお母さんの3人暮らしだった。それが、その後3年くらいで奥さんが家を出て行った。お義母さんと合わなかったようだ。そして、その後、今から7年ほど前にお母さんは亡くなったので、それからずっと一人で住んでいる。
昨年まで、近くの農家の野菜収穫のパートに行っていたが、時期的な仕事で担当の若い女性に威張られて頭に来たそうで、もう働くのは辞めたと言っていた。友達や姉妹が、たまに遊びに来ているのを見かけるが、ほとんど一人で家に居るようだ。でも、こんなに酔っているのは初めて見た。それも朝から。見ていて、少しかわいそうになった。
もう一人のEさんも、「女房が脳梗塞で2回も倒れてから、年に1回ほど、ひきつけを起して救急車で運ばれる」と話し始めた。そして「何故か分からないけど、急に言うことが辛辣になって、言葉遣いもひどくて、”私は軽作業の仕事をやっているのに”と、俺が仕事がないのを責めたりする」と言う。この年齢になると、働くところはなかなか見つからないねえと、2人で話した。
自分も仕事が途絶えたときに、女房から「どうするんだ!」と延々と毎日のように責めたてられ、仕方なく仕事が決まって行く振りをして、図書館などにずっと通って、辛いときがあった。しかし、何カ月も1年も、そんなことをやっているオヤジ達が結構いるという話を聞いて、救われたことがあった。やはり、みんな、図書館や公園が通勤先?だという。だから、気持ちはよく分かる。
そんなEさんやKさんを見ていて、誰しもが色々なものを背負って、なんとか生きているんだと思った。今、働いているマンションの住人を見ていても、ボロボロの賃貸マンションの狭い部屋1室で、1人で住んでいる男女の高齢者が何人もいる。歩くのも話すのも大変で、よれよれの姿を見ると、他人ごとではないなといつも思う。
3年ほど前に勤めたマンションの管理人のときは、分譲マンションだったので、入居者は、まあソコソコに金もあるだろうし、部屋もここよりは倍以上広くて部屋数もあり、高齢の夫婦が多かった。ただ、だからと言って、今のマンションの人達よりは幸せかというと、決してそうは見えなかった。
そんなのを見ていると、なにが幸せなのか分からなくなる。いずれにせよ、老後を生きるということは、簡単なことではない。