オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「パンドラの箱を開けてはいけない」

この前、マンションの若い男性入居者が、駐輪場に停めてある自転車のサドルが、カッターのようなもので切られたと言って、管理人室に持ってきた。今年で2回目だそうだ。見たら、確かにひどい。サドルが、かなり切られている。

自分の上司の担当者に電話したら、本人が警察に直接、被害届を出すしかないと言う。若い男性は、「監視カメラを、駐輪場のところに設置できないのか?」と言う。「管理費を払ってるんだから、それくらい出来るだろ?」と怒ってる。

怒りをどこにぶつけていいか、分からないのだろう。自分は「管理人はパートなので、詳しいことは答えられないので、管理会社に直接電話した方がいいですよ」と言った。実際、それが本当で、我々パートの管理人が対処できることではない。そう言うと、やり場のない怒りで、黙って去って行った。

           

その後、すぐ管理会社に電話したようで、今度は「ベランダでタバコを吸ってる奴がいるぞ!貼り紙をして、吸うなと注意しろ!」と怒って言ったそうだ。すぐ、本社からその注意書きのFAXが管理人室に届き、掲示板に貼った。これで少しは、彼も気が済んだのだろう。 

数日前に監視カメラを見ていたら、軽自動車がゴミステーションの斜め向かいの駐車場に停まった。入居者かと思っていたら、30~40代の女性がゴミ袋を抱えてゴミステーションに捨てに行った。更に、3回も車に戻ってゴミ袋をまた抱えてきては、捨てに行った。そして、すぐ去って行った。ナンバーを調べたが、入居者ではなかった。

担当者に教えたら、「不法投棄ですね。どうします?警察に連絡しますか?」と言う。徘徊オジサンのことも話したら、「不法侵入ですね。どうします?警察を呼びますか?」と同じことを言う。自分ではなく、担当者が自分にそう聴くのだ。仕方ないので「それでは、もう1人の管理人と相談して、必要なら警察に電話しますよ」と答えた。

           

以前勤めた、マンション管理会社の担当者は、こういう問題を報告すると「関わらないで下さい」、「触れないで下さい」と言った。「下手に関与して、逆に訴えられて裁判に負けたことがあります」と、ウソかホントか分からないことを言っていた。「見て見ない振りをしろ」ということだ。管理会社とは、こんなもんだ。

しかし、現場で直にそんなことに接している管理人は、あまりのひどさに怒り心頭に発する。前のマンションの前任者も、「不法なゴミ捨ては絶対に許さん!」と真剣に怒っていた。違法駐車も、とにかく悪質なのが毎回続くと、そういう気持ちになる。 事件は、現場で起きてるんだ!

          

ただ、管理会社の担当者は、「余計なことを言って来るな」と嫌がっているのかもしれない。「パンドラの箱」を開けるなと。

よく米国映画で、新人とか他から都会の警察に移動になって来た警官が、元からいるベテラン警官と相棒になり、シンジケートの組織を探る。そして、証拠を見つけたときに「やったな!」と喜んで、ベテラン警官の方を振り返ると、彼は銃を向けていて「お前はやり過ぎたんだよ」と言って、パンパーンと撃たれる。

自分もやり過ぎると、消されるかもしれない。もう一人の管理人O氏と、対策会議をよく開いている。片方の出番のときに、菓子やアイスを買って管理人室を訪ねる。ゴミの不法投棄の話をしていたら、O氏は「よく見つけたね」と言う。それで、ハッとした。「そうか、見つけなければ、そのまま何もなかったんだ」と。 それで、2人で結論を出した。

「何か見ても、見てないことにしようか?」と。