O氏とは懐かしい話で、随分と盛り上がった。自分が中学校3年のときに好きだったS子も、O氏と同じ高校に行っていた。聴いてみたら、そのS子とは結構仲が良かったと言っていた。そのS子のことでは、こんな思い出がある。
中学3年になって席替えがあり、自分と仲が良かった友達が、自分の前の席に座った。すると左最前列に座っていたS子が、授業中に盛んにこちらを見るので、俺に気があるのかなと思っている内に、好きになった。
自分の前に座っていた友人は、そのS子とは仲が良かったこともあり、或るとき、休み時間にS子に向かって、自分の方を指さして「お前、コイツの方ばかり見て、コイツが好きなんじゃないのか?」と言った。「あーあ、とうとう言っちゃったよ!やめてくれよー!照れちゃうじゃんかよー!」と思った。
するとS子が突然、険しい顔になり「なにがコイツが好きだって?なに言ってんの、冗談じゃないわよ!」と烈火の如く怒り、向こうに行ってしまった。「コ、コイツって!冗談じゃないって!ひどい!あんまりだー!」。好きな子に、面と向かってこんなひどいことを言われた奴っているか?いないだろな。傷だらけの人生の、最初の傷だったかもしれない。
その後、彼女は高校時代に付き合った彼氏と2人とも札幌に出て働き、そして結婚し、子供も出来、そして離婚したという話しを風の噂で聞いた。ずっと札幌の病院に勤めていたそうで、O氏は偶然、その病院で会ったと言っていた。
自分もその病院は、何度か行ったことがあったが、もしバッタリ会ったら、自分はどんな顔をして、何を話しただろうか? 還暦の頃の同期会の写真に写っていた、S子を見た。あのときは、”烈火”の如く怒ったが、今は”劣化”がかなり進んだな。「お前もな」と言われるな。