河合隼雄氏は心理学者で、元文化庁長官でもあった人だ。若い頃にスイスのユング研究所に行き、日本人として初めてユング派分析家の資格を得ている。村上春樹氏との対談本をこの前読んだが、難しくてよく分からなかった。(笑)
30年ほど前だったと思うけど、この河合隼雄氏の書いた「こころの処方箋」という本を買ったが、今も時々読んでいる。心理学者でカウンセリングもやっていただけあって、かなり深いところについて書いてあり、すごく読み応えがある。印象に残った章が、たくさんある。
「ふたつよいことさてないものよ」、「100%正しい忠告はまず役に立たない」、「理解ある親をもつ子はたまらない」、「灯台に近すぎると難破する」、「己を殺して他人を殺す」、「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」、「ものごとは努力によって解決しない」等など、まだまだ興味深い章がある。
この本は、河合隼雄氏の著書の中では一番分かりやすい本だと思うが、それでいて内容が非常に深いので、何度も何度も読み返している。かつて、夫婦関係で悩み、孤独だと思っていたときに、この本の「1人でも2人、2人でも1人で生きるつもり」という章を読んで、成程なあと納得したことがあった。
この本は、自分にとっては非常に大切な本だ。自分が持っているのは、大きな字の単行本だが、買ってから随分と経ち、汚れもひどくなっているので、新たにAmazonで「非常にいい」程度の中古本を注文した。送料も含めて¥420円だった。この本も、自分の宝物だ。