オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「バーバラ・ストック『ゴッホ 最後の3年』」

f:id:yoisyotto:20220324150955j:plain

この本は、イラストのような、何んといったら良いのか、マンガだろうな。ゴッホの絵にマッチしているように色彩が鮮やかで、読んでいくとゴッホの苦しみや絶望や葛藤がよく分かる。作者はオランダのマンガ家で、「バーバラ・ストック」という。バーバラと言うのだから、女性なのだろう。ゴッホの半生を知るには、すごく分かりやすくて、いい本だと思う。

ゴッホの本物の絵を、オランダのアムステルダムにあるゴッホ美術館で観たことがあった。20代前半のときに、海外旅行に行ったときのことだ。ゴッホの絵を目の前で観て驚いた。近くで見ると、絵の具を厚くベタベタと重ねていて、いったい何を書いているのか分からなかった。それを離れて見てみると、迫力のある景色の絵になっていた。

激しく力強いタッチの絵で、絵画には素人同然の自分でも圧倒されるものがあった。有名な文芸評論家の小林秀雄氏が、展覧会でゴッホの絵を初めて目の前で観たとき、圧倒されて絵の前でしゃがみこんだという有名な話がある。それを後で知って、感性の鋭い人ならあり得るだろうと思った。

自分が高校生のときに、ラジオから流れてきた美しい曲「ヴィンセント」を聴いて感激し、ゴッホのことを少し知った。ドン・マクリーンというミュージシャンが、ゴッホのことを淡々と情感たっぷりに歌っていて、それはそれは美しい曲で、自分の大好きな曲だ。以前、ゴッホ美術館では、この曲が館内にずっと流れていたそうだ。

最近、歌詞の和訳を調べたが、だいたい想像していたような内容で、改めていい歌詩だと思った。ドン・マクリーンは、ソフトできれいな声で歌う。話は逸れるが、有名なソウル女性歌手のロバータ・フラックが歌って、日本でも大ヒットした「やさしく歌って」という曲の歌詞は、ドンマクリーンのことを書いてある。

ロバータ・フラックが、ドン・マクリーンのコンサートを聴いて感激し、ドン・マクリーンのことを書いたそうだ。歌詞がそうで、作曲は別の人だ。この曲も素晴らしくて、自分はこの曲がドン・マクリーンのことを歌った曲だと、結構最近になって知った。

ゴッホの絵は生前は認められず、生活も大変だったが、4歳違いの弟テオがそれをずっと支えていた。兄の絵を認めていて、絶対にいつか必ず世に出ることを信じ、最後まで仕送りをして励ましていた。ゴッホが37歳で亡くなり、半年でテオも34歳で病死で亡くなっている。この兄弟のことを思うと、人の一生って何なのだろうかと考えてしまう。

テオの死因は、元々体が弱く、兄のゴッホが自殺したショックもあったのだろうと言われている。ゴッホは自殺と言われているが、他殺説もある。しかし、ゴッホにずっと仕送りをして、励まし支えてくれたテオの困窮した生活を、死の少し前に見たゴッホはショックを受けていたと言われている。テオには、奥さんと1歳の子供がいた。

ゴッホが亡くなってから、徐々にゴッホの絵は認められた。そんなことを思いながら、ドン・マクリーンの「ヴィンセント」を聴くと、胸がいっぱいになる。「Starry,Starry night  星降る、星降る夜」と語りかけるように歌い始めると、ゴッホの傑作「星月夜(Starry Night)」が思い浮かんでくる。

 

 

 

ヴィンセント

ヴィンセント

  • EMI Catalog (USA)
Amazon

 

やさしく歌って

やさしく歌って

Amazon