20代のときから、この本をずっと読んでいた。それから、30代、40代、50代、60代とその都度、本棚から取り出しては、何度も読み直している。最近、また読み始めたのは、ミュージシャンの山下達郎さんのインタビュー記事を読んだからだ。
“悩める若者に、なにか1冊の本をすすめるとしたら?”という質問に対して、この本を挙げて、(一部抜粋)「友達の子供が就職するとか、そういう時は必ずプレゼントすることにしてる。この本のすごいところは、著者自身が集めた経験的なデータによる、とても現実的、かつ実証的な本だということ。僕自身にとっても、長い間の座右の1冊です」と答えている。山下達郎さんとこの本は、意外な組み合わせだったので驚いた。
自分も若い頃から、気落ちしたり落ち込んだときに、この本を読んで勇気を何度ももらっている。この本は、実際に大変な苦労をした有名な人達や無名な人達の、数多くの体験談を引用しているので「自分なんか、それに比べたら…」という気持ちになる。他の啓発書とは違って、具体的な体験談が書かれているので、読む側も共感する本だ。
色々な啓発書を数多く読んできたが、中年になってからはどれも同じ内容なのに気づき、頭の中でこう思うと良いということばかりで、もう書店で啓発書を見ると拒絶反応が起き、溜息が出るようになった。それで、最後はいつもこの「道は開ける」を読むことになる。”自分よりも切羽詰まった大変な人達がいた”と思うだけで、なにか救われた。
この歳になっても、「なにをやっても、上手く行かないなあ」と落ち込むことが多くなっている自分にとっては、この本を読むことが大きな救いとなっている。それにしても、この本を20代の頃から読んできたが、今この歳になって読み直しても古臭さは感じない。かなり昔の人達の体験談ばかりだが、それも感じさせない。時代を超えた名著だと思う。