体が硬いせいか、昔から同じ姿勢でずっと座っていることが出来ない。机に向かっていても、首から背中にかけてバーンと張った感じになって、同じ姿勢を続けるのが非常につらい。映画館に映画を観に行って一番イヤだったのが、同じ姿勢をとるのがつらくて絶えず座る位置を変えたり、足を組み直したりして動いていたことだ。
そのうち、後ろの席で観ている人が「いい加減にしろ!」と怒り出すんじゃないかと思って、気になっていたことだ。その内、一番後ろの席に座るようになったので、その心配はいらなくなった。
小学校の高学年の頃から、近所の整骨院に通っていた。とにかく、頻繁に足が突っ張ったり、寝違いを起こしたり、振り返ったら首がそのまま動かなくなったことも何回かあった。それで近所の整骨院に何度も通い、最初は治療を受けている大部屋のジイサンやバアサンがたくさんいるところで、マッサージを受けた。
激しいマッサージで、上に乗っかるわ、体を曲げられるわで、痛くて悲鳴を上げると、先生は得意になって周りのジイサンやバアサンに、「ほら見ろ!こんなに若いのに、体はガチガチの年寄りだ!」」と言う度に、周りのジイサンやバアサンはゲラゲラと大笑い。これが毎回のパターンだった。
そして、激しいマッサージの後は、電気を足に流してマッサージする医療機器で、筋肉がビクンビクンと動くやつだが、これを最高レベルにしても自分にはあまり効かない。それで、先生は大きなタライにお湯を入れて、その中に塩を入れ、その中に足を入れさせて電気を流していた。
「こんなにやらないと、効かないんだからなあ、まったく」と、先生はいつもあきれていた。今、考えてもかなり筋肉も硬かったのだろう。だから、小さい頃から学校の準備体操とかでも、他の同級生と同じ様に体を曲げることができなかった。
高校の時は、体育の時間に生徒同士がペアになって、座って足を前に伸ばしている者を背中から一人が押し、押される方は伸ばしている手の先を足のつま先に触れるようにするのだが、これが何としても自分は半分くらいしか行かない。それを見ていた体育の怖い先生が、突然「何をやってるんだ!」と怒って飛んできた。
そして、自分の背中を押していた同級生に「代われ!」と言って代わり、先生が何度か力強く自分の背中を押したが、何度やっても前に倒れなくて、自分は「ウーン、ウーン」と苦しくてうなっていた。すると先生が、「それじゃあ、みんな。次の運動をやりま~す!」と言って、サッサと行ってしまった。
自分は座高が高くて手足が短いので、それも何か体が硬いことと関係があるのかと考えたこともあった。ロードバイクに乗ってみても、サドルが高くてハンドルが角のように曲がっているタイプだったので、背中をかがめてハンドルを掴んで乗るとかなり体を屈めることになり、すごく苦しい。普通の人ならそうでもないのかもしれないが、自分のように体が異常に硬い場合は無理なのかもしれない。体が硬いって、いいことがあるのだろうか。