オジさん NOW

還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「カセットテープの思い出」

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今の職場で同じ歳のUさんと、「我々の時代は、カセットテープの時代だったんだね」と話していた。今のCDから比べると、カセットテープは各曲の頭出しをするには、毎回テープを巻き戻しや先送りをするので時間がかかった。CDのように一瞬で頭出しができなかった。オープンリールテープを小さくして箱に入れたようなもんだ。

技術の進歩とはすごいものだ。今は新しい車には、CDを聴く機器が付いていないそうだ。もうCDの時代ではなくて、Bluetooth(ブルートゥース)というもので曲を飛ばしたり、ネットから配信された曲を聴くようになっているようだ。もう、なにがなんだか分からない。ただ、自分としてはCDが慣れているし、音も良くて一番使いやすいように思えるのだが。

カセットテープと言えば、いつも思い出すことがある。あれは、自分がまだ若い頃に地方の会社に勤めていた時のことだ。仕事関係の人の結婚式が町のセンターであったので出席し、指定された円卓に座って披露宴を見ていたが、一段楽して余興の時間になった。その時に同じ系列会社のKさんが司会をやっていて、そのKさんが各テーブルを周って、余興のカラオケで歌う常連のような人に事前に打診していた。

我々のテーブルにも周ってきて、和服を着てメガネをかけたオバサンに「すごく歌が上手いと、みんな言ってますよ。歌ってもらえませんか?」と言うと、そのオバサンは「いやいや、私なんかとんでもない!他にもまだたくさん上手な人がいますよ」とか言って、何度かそのやり取りが続いた。

そこでKさんもお決まりごとで、「いやいや、どうしても歌ってもらわないと!」と言うと、そのオバサンが突然「分かりました!」と言って立ち上がり、「それならこのテープでお願いします!」と、着ていた和服の襟の中からおもむろにカセットテープを取り出した。そして、「この会場のテープは、キーが高くって」(知ってるんかい!)と言った。自分の声のキーに合った、自前のカラオケテープを持ってきていたのだった。最初から歌うつもりで。

さすがのKさんも少し動揺して「はい、分かりました!」と言ったが、顔は真っ赤だった。そのやりとりを、自分はオバサンの隣りの隣りの席でずっと見ていたが、「オバサンちゅうのはすごいもんだなあ。男の方がずっと純情でうぶだな」と思っていた。自分が、まだ30代の頃だった。