オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「群馬・長野・山梨方面への旅行 その3」

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「何故、この旅行に決まったのか?」

この旅行が決まってから、「どうして、今回の旅行はこのツアーにしたのか?」と思い、少しずつそのときのことを思い出した。本当は、最初は4月24日に「福岡・大分・熊本・宮崎・長崎 九州5県 ぐるり周遊いいとこどり四日間」というツアーに行く予定だったが、あの4月14日の「熊本地震」が起きてツアーが中止になった。

訪れる予定だった熊本城も、無残にも一部が崩壊してしまった。女房などはそれを見て「何百年も壊れないでいたのに、どうして私たちが行くというときに壊れるんだ!」と怒っていたが、それはひとえに女房の精進が悪いということに尽きるだろう。それにしても被災に会った方達は、大変な思いをした。いつか、復興したら訪れてみたい。

その後、女房が「代わりに、いいツアーを見つけた!」と言って、5月10日発の「北海道新幹線で行く 鬼怒川温泉・草津温泉 癒しと歴史の三日間」というツアーに行くことに決めた。新しく開通した北海道新幹線に乗って、窓から景色を眺めながら駅弁を食べたり、ビールを飲んだり、おやつを食べたりということを考えて、楽しみにしていた。

そしたら、その数日後の朝刊折り込みに、違う旅行代理店なのに今回決めたツアーと内容が全く同じツアーが載っていたので驚いた。それで女房に、「同じツアーを色々な旅行代理店で扱っているんだな」と言いながらそのパンフレットを渡したら、しばらく黙って見ていた。

少し経ってから女房が、「お父さん!これがいい、これが!」と大きな声で言い、もっといいツアーがあると言う。「料金が前のより安いし、これがいい!お父さんの好きな真田丸の城も見れるからいいじゃん!私はこれがいい!」と何度も興奮して言う。

女房は旅費のことを考えて少しでも安いツアーにしようと考え、しかも「お父さんの好きな真田丸の城」と、俺のことを考えてくれたのかと思った。それで、「分かった。それでいいよ」と言うと、女房は「それじゃ、私は仕事に行くから、早く前のツアーをキャンセルして、このツアーを急いで申し込んだ方がいいよ」と言って仕事に行った。

その後すぐ、予約していたツアーをキャンセルして、新たなツアーを申し込んだ。それから少し経ってから、改めてゆっくりと今回の新たなツアーのパンフレットを見てみた。女房が気にかけてくれた真田丸の「上田城」は行く。そして北アルプスの「白馬」に泊り、そして「上高地」を観て、そして「富士山」の五合目までバスで登る…。

「何だこりゃあ、山ばっかりじゃないか!」。女房は少し前から登山をやり始めていたので、アルプス山系のあるここが気に行ったようだ。やられた。女房が人のことなど考えるわけがない。またも騙された自分に腹が立ったが、「よーし、こうなったら旅行中は山を見ても興味ない振りをして、ずっとつまらなそうな顔をしてやろう」と思っていた。

しかし、実際に行ってみると想像以上の景色や山の壮大さに、思わず感嘆の声を上げてしまった。すると女房はすかさず「やっぱり、来て良かったしょ?」と得意になって言うので、「お前にダマされて、こんな見たくもない山ばっかりのところに連れて来られた」と何度も言ったが、実は来て良かったと思っていた。

■「女房の自撮り棒」
女房は、バスの中から夢中で外の山の景色をスマホで盛んに写していたが、バスから降りると今度は自分の姿を写すことに夢中だ。それで、今までも毎回、自分に写せとうるさいので、今回は自分1人で写せるように、中国人や韓国人が旅行でよく使っている「自撮り棒」を買って与えた。

今はどこの観光地にも中国人がかなりいるようで、女房がその中に混じってやれば恥ずかしくないだろうと思っていたが、軽井沢でも富士山でも上高地でも中国人らしい人はたくさんいたが、自撮り棒で写しているような人は、ほとんど見かけなかった。

それで、嫁も最初は躊躇していたが、上高地でとうとう使ってみるというので、それぞれ好きなことをやろうと別れて自分もブラブラしていた。その内、女房が本当に自撮り棒で写しているのか気になり、見つからないようにこっそり捜したら、川岸で自撮り棒をかざして何度もポーズを取って色々な表情をして、自分を写している変なオバサンを見つけた。

女房だった。それを陰から隠れてコッソリ見ていたが、「しかし、本当にやってるよ。よくやるよなあ」と吹き出してしまった。周りを見てみると中国人のような人達もたくさんいたが、誰一人、自撮り棒で写している人はいなかった。

■「誰が見たのか?」
自称300歳のバスガイドさんのことで感心したのは、歴史の知識がすごいということだ。本人も、色々と本を読んで調べていると言っていたが、仕事で必要なこと以上のことも勉強しているというからすごい。

そのガイドさんが、いつも通りバスで通るところの戦国時代の武将の逸話を色々と話してくれたが、ひと通り話し終わってから「ただ、私いつも思うんですよねえ。それは一体、誰が見たの?って」。もちろんみんな笑ったが、確かにその通りだ。

歴史の逸話のほとんどが、勝者や生き残った者が、後から自分に都合のいいように作り変えたものだ。明治維新で幕府が倒されて新政府になった時に、討幕派の各藩の者が新政府の重要な役職に就いた。

それを見て「討幕の中心になって活躍した人は、ほとんど死んでしまった。だから今残っている者は、実際には戦いの前線や中心にいなかった者ばかりだ」と言った人がいた。いつの時代でも、そうなのだろうと思う。

というようなことも、普段はそれほど歴史が好きでもないので、ほとんど考えることがないが、本州を旅行すると史跡だらけなので、そういうことを考えたりする。まして、本やテレビで観た史跡や建造物などがあると、「本当にここに有ったんだ!ここに居たんだ!」と、感慨深い気持ちになる。

以前、坂本龍馬の定宿の「寺田屋」も観に行ったが、ここに龍馬がいたのかと思うと何とも言えない気持ちになり、何度も何度もその部屋の柱を触った。龍馬も触ったのかなあと思うと、急に近い存在になった。

今回の記事で、とりあえず旅行は終わりだ。この後の旅行はいつになるか全く分からないし、予定もない。もしかしたら、あの世に旅立つ時なのかもしれない。いつ逝ってもおかしくない歳になった。