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還暦過ぎたオジさんのあれこれ

「イタリア旅行」

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2007年の5月7日から5月15日の8泊9日でイタリア旅行に行った。なんと前年のフランス旅行に引き続きだ。前年のフランス旅行は、もう死ぬかもしれないと思って老後のために貯めた金も使ってしまえと思ったのだが、あれ以来「なんとかなるだろう」という太っ腹な気持ちになっていたのと、リーマンショックの前年だったので、まだ余裕はあった。

ということで、成田空港からロンドンのヒースロー空港が給油の中継点だったので寄ったが、テロが有った後だったので警戒が厳しくて小さいペットボトルもすべて飛行機には持って行けず、検問を通るのにすごい時間がかかった。液体爆弾を警戒していたらしい。なんでも爆弾になるから怖い。

そこで長時間並んで待っていた時に、ニューヨークで活躍している日本人ジャズピアニストの秋吉敏子さんが一人で颯爽と歩いているのを見つけた。近くにいた同じツアーの人も、間違いないと言った。自分は外国で結構、有名人を見つける。新婚旅行でスイスに行った時も、空港で荷物が出てくるのを一人でポツンと待っていたソフィア・ローレンを見つけて、添乗員さんに話したら本人に話してくれて一緒に記念写真も写してきた。ラッキーだった。 

ヒースロー空港からイタリアに向かい、ローマに到着した。ローマではバチカン市国に行き、バチカン美術館、システィーナ礼拝堂を観てきた。システィーナ礼拝堂の天井に描かれたミケランジェロの「最後の審判」も観たが、どうも自分は何を観ても現実とは思えず、TVでも見ているような感じがしてそれほど感動しない。女房などはすごく感動して、今でももう一度観たいと言っている。

その後、ローマ市内でサンピエトロ寺院、コロッセオ、トレビの泉などを見た。とにかくローマは町全体が遺跡という感じで、昔あった建物の上に次々と建物を建てているので、ローマのどこを掘っても遺跡が出てくるらしい。今も工事中に昔の市場の跡が出てきたそうで掘っていたが、その規模がすごくて地下都市のように見えた。

ローマのあとはピサの斜塔を観にいき、フィレンツェ、ベネチア、ミラノという順に観光した。フィレンツェは丘から眺めたがほとんどの家の屋根がレンガ色で町の真ん中を川が流れていて、とても情緒のあるところでなにかしら落ち着く街だった。

人工島のベネチアには鉄道とボートで行ったが、街中は少し臭った。ツアーで一緒のオジサンがみんなに「これは海の臭いだよ!」と得意げに話したのを自分と女房は黙って聴いていた。後でホテルの部屋に戻ったら「何が海の臭いだ!海の臭いなら海の町で生まれ育ったから嫌でも分かる。あれはゴミの臭いだ」と女房が笑って言い、15年間海の町に住んでいた自分も「そうだよなあ!」と久しぶりに意気投合した。ゴミくさい臭いがしたベネチアだった。 

今回の旅行も行程が結構ハードで、自分はまたも観光してる間は座るところを求めてさまよっていた。美術館などで同ツアーの高齢のオジサンやオバサンと真っ先に椅子を探して椅子取りゲームみたいになったが、51歳の男が必死になって70歳以上の高齢者とイス取りをしているのだから情けない。

ただ或る名所で、別の日本のツアーの40代くらいの夫婦が階段のところで疲れたように座っていて、色々な話をしている内に御主人が「自分達のツアーはパンフレットが〇色だから、巡るところをたくさん詰め込んで日程がすごい。それで、もうクタクタになっちゃって」と言っていた。何色だかのツアーのパンフレットが、とにかく名所を多く詰め込んでいる割には安いということらしい。その次が、自分達のツアーのようだった。だから疲れるんだなあと納得した。

今回の旅行も、前回と同じく隣の市の旅行代理店でツアーの手配をした。店員は親切で良かったのだが、新しく来た支店長がすごく感じの悪い男で、何か聴いても返事をしなかったり、答えても人をひどく小バカにしたようなことを言うので、さすがに大人しい自分も腹を立てていた。

そして旅行から帰って来て「職員の対応はどうでしたか?」というアンケート用紙をツアーの帰りの飛行機の中で添乗員から渡されていたので、その支店長に対しての怒りを書いて出した。すると数週間してから、その支店長からお詫びの手紙が自宅に届き、確か降格になるようなことが書かれていたと思う。

それから1年ほど経った頃に、そのイオンの中にある支店の前を通ってトイレに行こうとした時に、トイレに向かって歩いていた自分の前を歩いていたスーツを着たオジサンが、急にくるっと振り返って自分の方に向かって深々と頭を下げた。あれっと思ってよく見るとあの支店長だった。

気の毒なくらい情けない顔をして、あの時の威張った感じがまったくなくて老人のようだった。「だから、威張っちゃいかんのだよ」と心の中で思って、自分も軽く頭を下げて顔を上げたが、支店長はまだずっと頭を下げたままだった。自分はトイレに行くのをやめて引き返した。少し可愛いそうにもなったが自業自得だ。第一、客に威張る馬鹿がどこにいる。それにしてもこれほどアンケートの苦情の効果があるとは思わなかった。