オジサン NOW

還暦過ぎたオジサンのつぶやき

「イタリア旅行」

f:id:yoisyotto:20190903070323j:plain                            
2007年の5月7日から5月15日の8泊9日で、イタリア旅行に行った。なんと前年のフランス旅行に引き続きだ。前年のフランス旅行は、もう死ぬかもしれないと思って老後のために貯めた金も使ってしまえと思ったのだが、あれ以来「なんとかなるだろう」という太っ腹な気持ちになっていた。それと、リーマンショックの前年だったので、まだ余裕があった。

ということで、成田空港からロンドンのヒースロー空港が給油の中継点だったので寄ったが、テロがあった後だったので警戒が厳しく、小さいペットボトルなどもすべて飛行機には持って行けず、検問を通るのにすごい時間がかかった。液体爆弾を警戒していたらしい。なんでも爆弾になるから怖い。

長時間、列に並んで待っていた時に、ニューヨークで活躍している日本人ジャズピアニストの秋吉敏子さんが、一人で颯爽と歩いているのを見つけた。近くにいた同じツアーの人も、間違いないと言った。自分は外国で結構、有名人を見つける。新婚旅行でスイスに行った時も、空港で荷物が出てくるのを一人でポツンと待っていたソフィア・ローレンを見つけて、添乗員さんに話したら本人に話してくれて、一緒に記念写真も写してきた。

ヒースロー空港からイタリアに向かい、ローマに到着した。ローマではバチカン市国に行き、バチカン美術館、システィーナ礼拝堂を観てきた。システィーナ礼拝堂の天井に描かれたミケランジェロの「最後の審判」も観たが、どうも自分は何を観ても実感が湧かず、TVでも観ているような感じがして、それほど感動しない。女房などはすごく感動して、今でももう一度観たいと言っている。

その後、ローマ市内でサンピエトロ寺院、コロッセオ、トレビの泉などを見た。とにかくローマは町全体が遺跡という感じで、昔あった建物の上に次々と建物を建てているので、ローマのどこを掘っても遺跡が出てくるらしい。そのときも、工事中に昔の市場の跡が出てきたと掘っていたが、その規模がすごくて地下都市のようだった。

ローマのあとはピサの斜塔を観にいき、フィレンツェ、ベネチア、ミラノという順に観光した。フィレンツェは丘から眺めたが、ほとんどの家の屋根がレンガ色で、町の真ん中を川が流れていて、とても情緒のあるところで、なにかしら落ち着く街だった。

ベネチアには鉄道とボートで行ったが、街中は少し臭った。ツアーで一緒のオジサンがみんなに「これは海の臭いだ!」と得意げに話したのを、自分と女房は黙って聴いていた。後でホテルに戻って「何が海の臭いだ!海の臭いなら、海の町で生まれ育ったからイヤでも分かる。あれはゴミの臭いだ」と女房が笑って言う。15年間、海の町に住んでいた自分も「そうだよなあ」と意気投合した。ゴミ臭いベネチアだった。 

今回の旅行も行程が結構ハードで、自分は相変わらず観光してる間は、座るところを求めてさまよっていた。美術館などで同ツアーの高齢のオジサンやオバサンと真っ先に椅子を探して、椅子取りゲームみたいになったが、51歳の男が必死になって70歳以上の高齢者とイス取りをしているのだから、つくづく情けない。

あるとき、別の日本のツアーで来た40代くらいの夫婦が、階段のところで疲れたように座っていた。色々と話をしてたら「自分達のツアーはパンフレットが〇色だから、巡るところをたくさん詰め込んで、日程がすごい。もうクタクタだ」と言っていた。何色だかのツアーのパンフレットが、とにかく名所を多く詰め込んでいる割には安いということらしい。その次が、自分達のツアーのようだった。だから疲れるんだなあと、納得した。

今回の旅行も、前回と同じく隣の市にあるイオンの中の旅行代理店で、ツアーの手配をした。店員は親切で良かったが、新しく来た支店長がすごく感じの悪い男で、何か聴いても返事をしなかったり、答えても人をひどく小バカにしたようなことを言うので、さすがに大人しい自分も腹を立てていた。

そして旅行から帰って来て「職員の対応はどうでしたか?」というアンケート用紙を、ツアーの帰りの飛行機の中で添乗員から渡されていたので、その支店長に対しての怒りを書いて出した。すると数週間してから、その支店長からお詫びの手紙が自宅に届き、確か降格になるようなことが書かれていた。

それから1年ほど経った頃に、イオンの中にある支店の前を通ってトイレに行こうとしたら、トイレに向かって自分の前を歩いていたスーツを着たオジサンが、急にくるっと自分の方に振り返って、深々と頭を下げた。あれ?と思ってよく見ると、あの支店長だった。気の毒なくらい情けない顔をして、あの時の威張った感じがまったくなく、老人のようだった。

「だから、威張っちゃいかんのだよ!」と心の中でつぶやき、自分も軽く頭を下げて顔を上げたが、支店長はまだずっと頭を下げたままだった。自分はトイレに行くのをやめて引き返した。少し可愛いそうにもなったが、自業自得だ。第一、客に威張る馬鹿がどこにいる。それにしても、これほどアンケートの苦情の効果があるとは思わなかった。支店長、降格になったのだろうか。