もう、何度も何度も観ていて、自分が今まで観た映画の中でベスト1なのが、「ショーシャンクの空」だ。他にも好きな映画はたくさんあるが、爽快で面白いのがこの映画だ。原作は、あのスティーブン・キングで、怪奇ものとかホラーとかいうイメージが強いが、こんなにしっかりとした、素晴らしい作品も書いているのかと驚きだった。原作は、「刑務所のリタ・ヘイワース」という中編小説だ。自分以外にも、この映画をベスト1という人が多い。
主演はティム・ロビンスだが、これほどのはまり役はないだろうと思う。これ以降の映画で、彼が出演しているのも色々と観たことがあるが、ほとんどがパッとしない。共演のモーガン・フリーマンも、地味だが味のある渋い演技ですごく良かった。当時は彼のことをよく知らなかったので、後でこの映画をまた観たときに、「あー、あのモーガン・フリーマンだったのか?」と気づいた。刑務所の所長役も主人公の周りの囚人役も、それぞれがこの映画の役に溶け込んでいて、いい映画というのはこういうものかと思った。
この映画のストーリーは、主人公が自分の妻とその愛人を殺したという無実の罪に問われ、終身刑の判決が下ってショーシャンク刑務所へ服役することになり、そこから所長の陰謀などに苦しめられて絶望の淵に立たされる。そして、最後の最後に大逆転があってハッピーエンドという、痛快で単純なストーリーだ。しかし、それを最初から最後まで退屈させず、最後のクライマックスまで持って行く展開が素晴らしい。
脚本と監督の手腕なのだろう。フランク・ダラボンという監督はそれほど作品を監督していなく、主に脚本と製作をやっていて、作品は初監督の「ショーシャンクの空に」の5年後に、「グリーンマイル」、その2年後に「マジェスティック」、その6年後に「ミスト」の計4本だけだ。その3本も観た記憶があるが、まあまあだったかな。
この「ショーシャンクの空に」は、今ではかなり評価されて、映画のベストものにはほとんど入っているが、当時は興行的には成功したとはいえなかったようだ。ただ、批評家達からの評価は高かったようで、アカデミー賞にも7部門でノミネートされた。しかし、受賞には至らなかった。
この映画は当初違う監督にオファーしていて、その監督はティム・ロビンスの主人公役に”トム・クルーズ”、モーガン・フリーマンの役には”ハリソン・フォード”を充てる構想を提案していて、フランク・ダラボンはこの構想を気に入っていたが、結局自分自身が監督をすることに決めたので配役も見直して変えたそうだ。
もし、”トム・クルーズ”と”ハリソン・フォード”だったら、この映画はどんな風になっていただろうかと想像するだけで楽しいが、この主人公役にはティム・ロビンスしかいないと思わせるほどのはまり役だった。そして、モーガン・フリーマンも。
自分もこの歳になると、映画の中で高齢の囚人が出所した後に誰も知らない世界に出され、元の刑務所の生活を懐かしんで孤独感を味わい、モーガン・フリーマンも出所してから同じような道をたどって行った気持ちが、よく分かるようになった。その辺の描写も実にうまく、ただの脱出劇で終わらない映画だ。