今、道内各地に熊が出没して大騒ぎになっている。街中にも出てくる様になって、警戒を強めている。札幌市内や近郊にも出没している。自分が以前勤めていた老人ホームのすぐ近くにも熊が出没して、大騒ぎになっている。学校も近くにあるので大変だ。
3年ほど前に、お盆のお墓参りでオホーツク管内にある、女房の両親の墓参りに行ったが、そこに「クマ出没注意!お供え物は持って帰るように」という立札が立っていた。熊がお供えものを食べに来てるのだと思うと怖くて、サッサと墓参りを済ませて帰りたかった。
その帰り道に「日の出岬」という所に寄った。眺めが素晴らしいところで、岬の先端まで行ってみた。周りが左右180度くらい見渡せて、地球の丸いラインが分かる。海は凪ていて、聞き耳を立てるとザザーという波の音が聞こえた。
圧倒される眺めで、ここに立っている自分が吸い込まれそうで気が遠くなる。 遥か空高く離れたところから、ちっぽけな点のような自分を見ているような気持になった。快晴で、最高の眺めだった。
女房の話によると、この場所で400キロの巨大熊が、トウモロコシ畑でムシャムシャとトウキビを食べているところを見つかり、射殺されたらしい。テレビのニュースで盛んにその姿を放映していて、テディベアみたいという声もあったらしい。
そのせいか、この岬のあらゆるところに「クマに注意!」という看板が何か所にも立っていたが、ここには宿泊施設も有って、テントを張ってキャンプをしている家族なども大勢いたので、大丈夫なのかと心配した。
自分が生まれた田舎でも熊はよく出ていて、信じられないかもしれないが、子熊を飼っていた家があった。しかし、この子熊が大きくなったので山に戻したところ、家畜を襲ったのでハンターが射殺したという話だった。それと、熊とナイフ1つで戦ってやっつけた、というすごい人もいた。
自分の姉の同級生の父親だったが、熊の懐に飛び込んで持っていたナイフでやっつけたそうだ。熊は懐に入られると手が届かないそうなのだが、それにしても普通は懐に入るまでに殴り殺されてしまうだろうし、万が一懐などに入ったら自分なら気絶してしまうだろう。昔はすごい人がいたもんだ。
登山を始めた時も熊の恐怖がいつもあって落ち着かず、景色や雰囲気を楽しむ気持ちにはなれなかったのも、登山をやめた理由の一つだった。熊が来ないように鈴を鳴らしたり、ラジオを鳴らしたり、大声を出したりして、そこまでして登山をしたいとは思わなかった。
熊は臆病なので、音がしたり人間の臭いがすると近づいて来ないというが、それも風向きがこちらから熊の方に向いていればの話で、逆だと気付かないでニアミスすることもあると聞かされて、なおさらイヤになった。
それと、熊が近くにいるとすごい臭いがするので分かるとも聞いたが、風呂に入らないからだろうし、第一そんな近くまで来てたら、もう一巻の終わりだ。それと、山菜も熊は好物なので、山菜取りでもニアミスが結構あるということも聞かされ、もう勘弁してくれと思った。熊は木彫りの熊で充分だ。登山は、二度としたくない。